ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

生きることは本当に苦なのか?(2)

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                        (結婚式の引き出物・インド)

スマナサーラ長老 法話と実践会(東京)

https://www.facebook.com/jtheravada/videos/1813433162051878/

35:43〜聞いて書きました。

 

 (生きることは本当に苦なのか? から続きます)

今、皆様方は足を組んで座っていますね。どんどん痛くなる。痛くなったらどうしますか?

足を崩すでしょう。足を組んでいて、痛くなって足を崩したら、楽でしょう。気持ちいいでしょう。そこで真理の基本的な法則、生命の法則がそこにあるんです。

 

ご飯がすごく美味しいと幸福でしょう。もし丸一日食べていなかったら、その後食べたご飯はすごく美味しく感じるでしょう。幸福でしょう。空腹感がなかったらご飯を美味しく感じる? チェックしてみてください。一食くらいご飯を抜いて、お腹が空いたまま寝て、朝ごはんを食べてみてください。どう感じるか。

それからお昼ご飯。お腹いっぱいになるまでに食べてください。それから美味しく感じるかどうか。

 

お腹いっぱいの時、美味しく感じないんですかね。味覚が死んだんですか。神経が壊れたんですか。

 

楽しむことに欠かせない条件は?

苦しみです。悩みです。苦悩です。苦悩のおかげで、生きることはなんて楽しいかと思っているんです。

 

それを理解しないんですね。

楽しみには苦が必要です。

苦しみが増えれば増えるほど、反対に楽しみがあります。

 

ホームレスの人がいるとしましょう。食べるものがなくて。お腹が空いてお金もない。一日、二日、苦しんでいる。三日目にある人がこのホームレスに千円をあげる。それでその人はどれくらいの幸福を感じる? それで買った弁当は、天国のご馳走を食べているように感じるでしょう。それにはその前にものすごい苦しみが必要だったでしょう。

今度は、どこかの大企業の社長に千円をあげるとする。その社長は幸せを感じる? その千円に価値がない? 弁当を買えない? 同じ千円ですが、社長は幸福を感じるどころか、怒り出すかもしれません。その人にはお金がないという苦しみはなかったんです。

 

自分の子供が学校に行って、帰ってこない。3時半に帰ってくるはずなのに、まだこない。家で待っている人は苦悩で燃えています。待っても帰ってこないので、学校に連絡する。知り合いのお母さんたちに連絡する。そこで不審者という概念が入ってくる。警察に連絡する。しかし、警察は人の命を守るために、人が死んでないと動かないんですよ。

ホームレスの人がのたれ死んだら、すごい額のお金をかけて死因を調べるんです。その人は百円もなくて飢えて死んだんですけど。生きている時に、困っているから助けてください、と言ったら怒って追い出すんです。

 

さて、帰ってこない子供を待つ親の心はどれくらい燃えますかね。そこへ「お母さん、ただいまー」と子供が帰ってきたら、その瞬間、どのくらいの幸せを感じる? 

 

だから、人生が楽しいという人に限って、苦しみが大きいんです。つまらない、面白くない、という人はそんなに苦しんでいないんです。

ご飯を食べて、「まあまあ美味しい」という人は、それほど苦しんでいないんです。「あれ、これは、すごく美味しい!」という人の苦しみは大きいんです。 

そういうことで、苦しみがなければ、あんな幸せは感じない。

 

中学生の時から、例えば男の子が、なかなか友達ができない。恋人もできない。30歳になってから、酒を飲んでいたら女の子と知り合いになった。どれくらい楽しい? 30歳で結婚していて子供もいて、仕事帰りにちょっとお酒を飲んで早く帰らなくっちゃ、という人には、飲み屋で女の子に声をかけられてもそれほど幸せを感じないんです。しかし、今まで一人のガールフレンドもいなかった人が、女の子から声をかけられたら、天女が降りてきたと思うほど嬉しく感じる。それで楽しくはなるんです。

 

人間というのは楽しみを作るのが上手です。

楽しみを作るために何が必要? 苦が必要です。苦があればあるほど、人生は楽しい。だから一生懸命苦しみを作っているんです。

 

結婚したら楽しい? 何が楽しいんですか。結婚したら終わらないほどの苦しみが始まるんですよ。一人ならカップ麺でも食べるけど、家族の前にカップ麺をポイポイと置くわけにはいかないね。そこで料理の本を見て料理を作って、なんて幸せですかと。子供がテスト持って帰ってきて、前回よりも10点低い。それで怒鳴って怒って燃えて腹が立って、子供の人生を地獄に落として、自分も地獄の味を味わう。何故ならば、それで幸せを感じるからです。

(1:13:00)

<続きます>

 

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スマナサーラ長老の仏教法話(@jtba_talk)/2018年07月08日 - Twilog