ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

デング熱、エボラウィルス…、もともと存在していた病がなぜ突然猛威を振るうのか?その仏教的な解決策とは?

質問「政府は、外来生物が日本に入って来たら退治するという方針です。これは仏教的にどうでしょうか?」

ポイントまとめ

  • 人間はエゴで自然に手を加えている
  • 身を守ろうとして殺し合いになると、結局身を滅ぼす
  • 自然に対し、人為的に手を加えないことが自然を守ること

回答(スマナサーラ長老)

仏教的には、それは人間のエゴで手を加えて自然を守ると嘘を言っている、ということです。もともと自然サイクルは一部の生命が消えたり、大量発生したりするものなんです。自然法則に人間が手を加えるのはおかしい。

 

たとえば人間が自分のわがままで外国の動物を自国に持ってきて、それが嫌になったら捨てるとかね。それからその生命を探して殺さなくてはいけなくなってしまう。人間が初めに悪いことしちゃったんだからそうなる。

犬も自然の中で飼っていれば良かったのに、人間のわがままで改良して傍で飼うようにした。その結果、いらなくなったら捨てる。捨てられた犬は集められて殺されなければいけなくなってしまう。人間がやった過ちなんですね、最初から。

 

今のデング熱の問題もありますけどね。自然環境だったらいろいろなウィルスはありますよ。それぞれがバランスを取っているんです。

エボラウィルスの問題もあるでしょ。人間が自然を壊すんだからね。エボラウィルスも昔からあったものなんです。環境を壊しちゃうと人間に感染して大変なことになる。それでもあまりに人間が感染して死んじゃうと、ワクチンを作ってエボラウィルスも消すでしょ。ほかにも薬を作って病気を消してきたでしょ。

 

意図的に手を加えると、トラブルも起こります。

穏やかな心でいる場合は、そういう問題は大げさなことにならないんです。

 

デング熱エボラウィルス、たくさんの病気がありますが、これらを完全に避けるっていうことは不可能なんです。私たちは自然環境の中で身を守らなければなりませんが、それが殺し合いになっちゃうと身を守れません。

 

一つの病気を消すと、ほかの病気が出てくる。抗生物質の場合はよくあることです。結局は別の細菌が生き残っちゃいます。生き残った細菌は昔からあったんですけど、数が少なかった。人間がいろいろな薬で標的とする細菌を殺していっちゃうと、少数だがもともと存在していた細菌が残っちゃうんです。院内感染などは人間の人為的なものなんです。

 

生命が弱ければ弱いほど、寿命が短いので進化が早い。(人間の寿命はそれより長いので人間の進化が追いつかない。)細菌は一時間に何回死にますか? 死んでは現れ、死んではまた現れ、でしょ。細菌の生命のサイクルは短い。その度に進化しているんです。死んで生まれると、以前より進化している。環境に適応している。だからこれっていうのは終わりのない戦いになっちゃうんですね。

 

人間が自然環境を守るというが、生命法則から見れば、自分の身を守るだけで十分なんです。

 

自然生物で起こるほとんどの問題は、人間の行いの悪さが原因なんですね。猛毒を持っている動植物がある。だからってそれを処分する? 放っておけばいいでしょう。国道沿いの毒キノコを全滅にするとか、何考えてるんでしょうね。我々が毒キノコと言ってもそれを食べる生命もいる。その生命にとっては毒にならない。

自然のバランスを取っていくことが我々の仕事です。

(おわり)

β関西活動報告 : '14 10/13 関西定例瞑想会@マーヤーデーヴィー精舎 (Youtube動画上で1:03:00~1:13:20まで)よりメモしました。

 

参照外部記事:

「突然に新しいウイルスが出現したわけではなく、極端な話、古くからひっそりと生きてきたウイルスの生態系に、人間の方から侵入した結果に過ぎず、原因は人間の側にあるのです。急速に地球環境を変えている人類にとって、未知のウイルスに遭遇する可能性はますます高くなっている。」

エボラ出血熱、緊急事態宣言!エマージングウイルスと動物の親密な関係」

http://snn.getnews.jp/archives/382327 より引用しました。

2014 10/13 関西定例瞑想会の説法ブログ記事

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