「五戒の酒・麻薬の禁止について」スマナサーラ長老法話
酒・麻薬を禁止するというのは、判断能力がそれによってなくなってしまうからです。脳細胞も壊れてしまうし。健康も壊れます。
そうなるとしっかりとした人間として生きていけなくなります。
仏教を実践するには、しっかりとした五感と脳細胞が必要です。それが壊れてしまうとどうなりますか。脳細胞は壊れやすいんだけど、復活するのは難しい。体ならけがをしても治る場合が多いですが。
だから、脳細胞を守ったらいかがですか、ということです。
蛇には、生きるために毒があります。
鹿にも、足と角があります。
ライオンにも、トラにも、牙やら能力がついています。
象にも、すごい体力があります。
生き延びるために。
そういう風に生命には、生きるために何か能力が備わっているんです。
人間には何ですかね。
寒すぎたり、暑すぎたりすると、バタバタと倒れるでしょう。人間にはこの自然界で生きていられません。
今も(7月)冷房がついていますよ。動物から見たら笑っちゃうでしょう。なんて弱いんでしょう人間はと。猿からみると、人間は皮をはぎ取られた猿でしょう。
この地球の環境の中で、人間に生きる能力はついていないんです。
それでも人間にだけ備わっているものがあります。それは何でしょうか?
愛情?
人間がこの地球を、愛情で支配しているんですか? 地球を出て宇宙にまで手を伸ばしていますけど、それは何の力で、ですか?
頭でしょう、結局は。
人間の唯一の道具は、知識なんです。脳の働きなんです。
お酒を飲むということは、それを壊しちゃいましょう、ということなんです。分かりやすく言えばね。
脳の働きは、人間なら何よりも守るべきものなんですよ。
酒・麻薬がダメなのは、正しい判断が、理性がなくなるからです。
それから一番大きい問題は、依存症。依存するんです。
たとえば、うなぎが好きだと言っても、依存はしないでしょう。酒や麻薬は依存症になります。
酒は文化である、という理屈は仏教に通用しません。
しかし、仏教の五戒の場合、「~するなかれ」という上からの禁止ではありません。
酒が脳に悪いというのは真理だから言っているのであって、禁酒を守るかどうかは個人の判断です。その結果は誰にでも平等に起こります。
ブッダがなぜ「酒をやめなさい」と言ったかと、理由を理解しておけば、何とかなるでしょう。
(http://www.voiceblog.jp/najiorepo/388948.html 2007.07.15 関西定例瞑想会よりメモしました)
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