質問「いろいろ知りたいと思って、いろいろ勉強しています。
勉強して知識を入れれば入れるほど不安や迷いが大きくなっていきます。これじゃいけないと思い、瞑想というのを知って取り組んでみようかと……。ヴィパッサナー瞑想は自分が勉強した知識概念が必要か、いらないのか、邪魔になるのか? 教えてください」
回答(スマナサーラ長老)
そういうふうにあいまいで、物事をはっきりしないから、あなたは何をやっても不安があるとおもいます。何をやってもいい加減で、あいまいで、白黒はっきりしない認識でしょ。だから、何をやっても自分の不安な状態、情緒不安定というのは増えるだけで。
普段揺らいでいるものはね、風が吹いても揺らぎますよ。普段安定している地球は、地震が起きない限りは揺らぎませんよ。
木に、しっかり付いてない葉っぱはちょっとした風にでも揺らいで落ちるんです。しかし、枝にしっかり付いている葉っぱは、まあ、風が吹いたら揺らぎますけど、落ちたりはしません。
だから問題は基本的なところにあるんです。そこは見ようとしないで、本を読んだりしてもなおさら不安が増えるだけだと思います。
問題は原因をなくすことで解決するんです。
あなたの心の不安定は誰の本が助けてくれるということじゃなくて、あなたは「なんで自分の心はそんなに不安定なのか」と自分に問うしかないでしょう?
なんで、幼稚園くらいの子供たちも何の不安定さもなく堂々と笑っているんですかね。
あなたの場合はどこでその道が崩れたのかとかね。他の人とは違った何か変わったことがあるのか、とかね。もし、自分のことを「特定の人物だ」と思うならもうどうしようもないんですけど。他の人間と同じだと思ってみれば、ちょっとおかしいでしょうしね。
子供さえも、そんなに不安定はなく、いろいろとぶつかりながら生きています。
ですから答えは、あなたは自分自身のことを「わたしは特定な人間だ」と思っているんですよ。
それではもう、関係なくなっちゃいます。あなたのパソコンを、インターネットのラインから外しちゃうと、誰にもどうすることもできないんです。あなただけ特定なものであると、インターネットにつなげていなくても自分には情報が入ると思っても、何も入りませんよ。今は無線ランがありますからね、それでもつなげていますからね、無線で。
なんで、「吾輩は特定な人間だ」とどこで思ったのか、それはどういう原因か、自分で探したらどうですかね。なんで自分が他の人と全く同じだと認めることができなくなっているんでしょうか、と。
あるいはもっと分かりやすく言えば、あなたはなんで失敗するのをそんなに怖がるのか、他の人は失敗しないのか? 他の人は、失敗しても、最悪なことになっても、まだやったりするのに、なぜあなたにできないのか?
今まで言ったことは、あなたは絶対に聞きたくない、ドアを開けたくない世界なんです。それにギッシリと鍵をかけているんですね。鍵をかけていろいろと本を読んでみたりする。なおさら揺らぎます。
だから答えは同じです。
幸福な道は、面白くて、やりたくてウズウズしている道じゃないんです。見たくないものを見なくてはいけないんです。やりたくないものをやらなくてはいけないんです。勉強と同じです。そちらの精神的不安定が解決するということは、ものすごくシンプル。大げさなことじゃないんです。
しかし、そのドアを自分で開けてみないとね!
どれほどシンプル、単純かというと、あなたがしゃべりだすと、わたしは原因まで分かるんだから。……(黙)あまりにもかわいそう。それぐらい単純なんです。
だから、あなたは自分を観察しない人だと分かっていて、あいまいにしゃべっていたんだから、わたしは最終的にちゃんと質問をあなたが作らなかったならば、答えませんと決めていたんです。でも、本人も何を言ったのかわからないでしょうが、最後に「どちらかと教えてください」と言ったんだから、なんとかお答えいたします、と。
何かはっきりしたものが必要なんです。
それで質問なんですけど、「概念が邪魔でしょうか、邪魔ではないでしょうか?」、知らない、わたしは。何を勉強しているのか、どんな概念を持っているのか。「わたしはこんな概念を持っています。これは瞑想に邪魔でしょうか?」と聞かれれば、「それなら邪魔です」と答えられますよ。ですから、「今まで得た知識は邪魔になるでしょうか?」というのは、わたしには答えられません。一つ一つ具体的に出さない限りは。
治療と同じです。ちゃんとした原因に答え、ですから、あいまいな答えはありません。
(スピリチュアル霊能師が、霊魂は確かにあると言っていたのを聞いたんですけど…… に続く)
(関西定例瞑想会 2007.12.16
http://www.voiceblog.jp/najiorepo/475960.html(音声ファイル:一番下)よりメモしました)
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