(これから)皆さんの質問に答えます。なるたけ自分の人生に役に立つことを聞いた方がいいんですね。
なぜかというと、人間は言葉を使うことで、かなり悪業をしているんですね。
言葉を間違って使っているんです。
たとえば、言葉を使うから嘘がつけるんですね。悪口も言えるしね。噂も言えるし。仲たがいの言葉も言えるし。それでわれわれの心の中で、怒りやら嫉妬やら憎しみやら、そういう感情が、消えればいいのになかなか消えないで繁殖するんですね。それが言葉なんですね。言葉で考えているんですね。言葉を使っている、頭の中で。
どんな感情でも、現れたらすぐなくなりますよ。たとえば、足を何かにぶつけたりする。超痛いでしょう。でもすぐ消えますよ。だから心の中で感情が生まれてもどうったことない。すぐ消えます。
(しかしこういう場合は)消えませんね。怒りがこみあげてきたら、それについて関連して、あれやこれやとかとりとめのない妄想が流れるんです。それは言葉でしょ。
それですごい悪が繁殖するんですね。
この世の中で、あらゆるトラブルが起きているのは言葉のせいなんです。
ものすごい資源が無くなっています。
たとえば裁判制度、法律とかね。そんなのは人間に必要かと。本当はいらないんです。
法律っていえばあるわ、あるわ、あるわ。それぞれの管轄に分けて、分けてね。犯罪の法律、商売をやっている人の法律、日常生活にかかわる法律、財産に対してまた別の法律があって、それぞれ専門家が出て来て、どれほどお金がかかるのか、資源が無くなることですかね。
軍隊はいるわ、警察はいるわ。
知ってますか? それはすべて言葉のせいなんですよ。
みんな嘘をつくからなんですよ。*1
たとえ人のものを盗っちゃっても、「あんたこれ盗ったの?」「はい、わたしが盗りました。すみませんでした」で終わりでしょう。
たった二、三分で解決することなんです。それなのに今の世の中では、解決のために二千万、三千万円かかる。
みんな計算したことがないだけ。警察組織で、給料を払ったり、ものすごい金を使っているでしょ。裁判制度でどのくらい金がかかるのか。
それは嘘つくからなんですね。
そういうことで、とんでもないことなんですね。
言葉を正しく使えないのかと。
言葉を使わない動物にとっては、仲たがいしましたというのはないでしょう。仲良くしているんです。
嫉妬した、というのもあるんだけどね。犬猫と付き合っていると、結構犬猫も嫉妬したりもしますが、そんなに大げさな問題になって騒ぐものではないんです。
猫がちょっと嫉妬したら、抱っこして「いい子だなぁ」と言って頭を触ってあげればそれで解決ですからね。人間が嫉妬したら、そんな簡単に、頭触ってあげれば終わる?
だから言葉に対してはお釈迦様は、「斧だ」と。それを口の中で振り回したら自己破壊するんだと。
そういうふうに説かれていましてね。
ですから、言葉はまず事実でなければいけません。
そうなってくるとダラダラダラダラしゃべらなくていいことになりますよ。余った時間で勉強でもすればいい。
それから何かしら役に立たなくちゃいけない、ということを考える。
本を読んでも、「何かしらこれが役に立つ」ということにならないと。
わたしは知っている人がいるんですよ。一日何冊でも本を読むんだけどね、知識・智慧だけはまるっきり成長しない。なんだこれ?
わたしも本を読みますけど、勢いでは読まない。選んで選んで、選び抜いた本を読むんであって、できるだけ一番新しい、最新の発見とかそういうものしか読まない。かつてこうでしたとか、人の妄想の本はいくらでもありますからね。なんか哲学っぽい、思考っぽい本は、読みません。
だからこの、役に立つ本を読むということになれば、よろしいことで、「ただ本を読みました」「今週は本を10冊読みました」というのはね。頭はそのまんまだから。
だから言葉を使うとき、「役に立つ」というのはとっても大事なんです。
考えるときでも言葉を回転させてますから、「この思考が役に立ちますかね?」と自分に聞かなくちゃいけない。
「何になるんですかね? こんなことを考えて」と自分に聞く。
それでものすごく人間の人生が、膨大な苦しみが無くなって、すっごく楽になるんです。
ものすごく落ち着くんです。
言葉についてはたくさん、昔もしゃべりましたからね。*2
じゃ、質問してください。そのときもできるだけ「役に立つか立たないか?」ということを考えたほうがいいんじゃないかなと思います。
(関西月例冥想会 2015.4.4 スマナサーラ長老法話
https://www.youtube.com/watch?v=uaX9B4_mWZw 最初~9:20までメモしました)
すべての「説法めも」を読むには: