ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

五戒と十悪、何が違う?

質問者

「先ほどの飲酒の件で、五戒の中には、お酒が否定されていますが、十悪の中にはリストに入っていません。それはなぜなんですか?」

 

回答(スマナサーラ長老)

 

十悪というのは、法則を語っているところなんですね。

法則として悪は心にあるんですね。善悪は心の問題なんですね。物にあるわけじゃないんです。心と言うのはすべての生命に似ている同じものなんですね。

心が悪になるというのはどういうものか? 心と言うのは、体の行為、言葉、思考で心を発見するものなんです。心そのものを発見するのは一般人には難しい。それはヴィパッサナー瞑想でやらなくちゃいけないんですね。

 

それで、自分に心があるということは、しゃべっていると心がしゃべらせている、考えていると心が考えさせている、行動していると、心が行動させている。それはすべての生命がやっている身口意の行為なんですね。

 

身口意の行為に分けて善悪を区別するのが十悪。

だから十悪と言うのは身口意の行為の事なんです。

ですから、十悪の場合は酒を飲むという項目が入りません。なぜならば、十悪は動物にも、神々にもあります。しかし、酒を飲むのは人間だけです。その場合は十悪リストには入らないんです。

 

われわれ人間だから、人間としてどういう生きるのかというところで、人が依存する五つの行為を、じゃあこれやめてください、と。

 五戒を守っていても、十悪は犯してはならないんです。

 

五戒は人間バージョン、十善十悪は生命バージョンなんですね。

 

酒をやめましょうと言う場合は、十悪に関係ないんですね。楽しいんだから飲んでいるということでしょう。肉体をちょっと楽しくしたいからという程度のことですね。

それで体が壊れて脳が壊れて正しく生きていられなくなるんですね。

 

だから、酒飲んで酔っぱらった人が十悪を犯す。犯す可能性が多いんですね。

 

例えば人の悪口は言いたいんだけど、みんな言わないんですね。でも酔っぱらったら言っちゃうんです。人を殴りたい気持ちがあっても普通は殴らないんですよ。酔っぱらったら言っちゃうんですね。

 

だから、これは十悪には入らないんですね、どうみても。これは、酒は、人間バージョンなんですね。

 

動物に酒を飲ませることはできますけどね。わたしたちは同じ脳細胞を持っているんだから、同じ反応をするんですね。

そのまま倒れて寝るか、凶暴になって何をやるか分からない状態になるかですね。

 

ロシアの動物園の象さんなんかは、冬場は酒を飲ませていると聞きましたけどね。すごくかわいそうだと思いましたけど。ロシアはすごく寒いですが、象は熱帯の動物だからね。

 

(東京・法話と実践会 2015.05.10

http://www.ustream.tv/recorded/62088084  よりメモしました)

 

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関連エントリ:

すべての悪の親玉「邪見(じゃけん)」とは?【十善十悪(前編)】

悪行為をしないといえば、悪行為とはそんなたくさん世の中にあるわけじゃない。十悪と、10項目にまとめられています。(殺生、盗み、邪な行為、偽り、無駄話、悪口、二枚舌、貪欲、嗔恚(しんに)、邪見の十悪)

体で行う3つの悪行為。殺生、盗み、邪な行為。

言葉で行う悪行為。嘘をつかない、噂話をしない、悪口を言わない、仲たがいする話をしない。

体を守るよりは、言葉を守ることのほうが難しいんです。

心で行う悪行為。3つ。貪欲は常識を超えた欲。異常欲です。

 

 

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