(道徳ってなんですか?(前編)|道徳の定義 より続きます)
二番目の質問ですが、宗教になにか裏付けがあるかというのは、ないです。なんの関係もない。宗教があろうがなかろうが道徳はあるんです。
あるときわたしは、外国人グループにいろいろ質問されたんですね。「あなた方には、普遍的な道徳がありますか?」と聞くんですね。わたしが、「あなた方の道徳とは何ですか?」と聞くと、「盗んではいけない、殺してはいけない……」とその人々は答えました。
わたしは、「それはわたしたちの道徳にもありますよ。しかしね、問題があります。わたしたちは、なんで殺してはいけないのか、なんで盗んではいけないのかと知っていますよ。しかし君たちはどうですか?」と。
するとその人々は、「あなたモルモン教を知っていますか?」と。わたしは「よーく知っていますよ」
「では、言ってみてください。なぜ、人を殺してはならないのか、と」わたしが再度聞きました。その人々は答えて、「それは、神様がそういうふうに道徳を決めたんだから」
わたしは、「それでしょう、問題は。神が決めなかったら道徳がないでしょう。
わたしが知りたいのは、神がなんでそんなことを決めたのか。迷惑ではないか」と言いました。
彼らは、「神には説明する義務はないんだ。絶対的だから」と。つまり、神が「やめろ!」と言うだけで十分ですね。それって道徳でしょうか。脅しでしょう。
だからわたしは彼らに、「これが問題です。あなた方の場合」。
普遍的な道徳とは、人が自分の理性で判断することです。
わたしたちの仕事は、人が道徳的な判断ができるように協力してあげることだ。人は弱いんだから。そこがあなた方とわたしの違うところですから、もうこれ以上しゃべれません、忙しいんだから」
と言って去ったんです。あと15分しゃべったら、あの若者たちは自分の宗教をやめますよ(笑)
なぜかというと、ずっと前、わたしが大学で研究していたときも、同じような外国人グループが渋谷にいたんですね。わたしを見つけて、外人だから話しかけてきて、わたしはすぐにわかった、この若者たちは疲れているんだと。わたしはニコニコと話をして、ちょっと楽しいようにしてあげて、英語を話す人々というのは、いかにふざけたことを言うのかと決まっていますからね。それで彼らが「どこへ行くのか?」と聞くので、わたしは東大前でしたけど、「一緒に行ってもいいか」というので、「どうぞ、どうぞ」と連れて行ったんですね。
彼らは朝から晩まで働いて、疲れていたから、その疲れが取れるまで、くだらないことを言って冗談を言って、それからわたしが、「何をやっているのか?」と聞くと、モルモン教を日本に広めるために来ているんだ、と言う。仕事は大変だと。なかなか人は話を聞いてくれません、と。
「日本人は仏教でしょう。仏教ってどういう宗教でしょうか」と彼らは言いました。
わたしは、「日本人が仏教徒というのは勘違いだ。日本人は宗教に無関心なだけです。あなた方は無関心な人の関心を向かせることをできますか?」
そうやってわたしが話をしたら、それから毎日来るようになったんです、午後。
楽なんです、彼らは。モルモン教だから紅茶は飲まない、コーラは飲まない。だから何も接待してなくてもいいんです(笑)
ただ、体がでっかくてね、四人くらい座っちゃうと、小さな部屋で身動きができないだけ。
これで、どんどん、どんどん、わたしから学ぶ羽目になってしまったんです。
そうすると人間関係が出来上がってしまうでしょう。人間関係が出来上がってしまったんだから、教会にも行きました、モルモン教の。
そういうことで、道徳というのは宗教の特権じゃなないんです。神が言うことは神ごとに違うでしょう。やりきれんでしょう。
(道徳ってなんですか?(後編)|道徳は呼吸と同じに続きます)
関西定例冥想会 2010.06.27
http://www.voiceblog.jp/sandarepo/1157700.html よりメモしました。
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