パーリ語 日常読誦経典
ふだん唱えるパーリ語の経典を、細かく分析します。
ときとして、カタカナ呪文になりがちなお経を文法的アプローチで照らして、自分の心から発する言葉に変えていこう、というチャレンジ・シリーズです。
まずは、世界中のブディスト の共通あいさつから。
「Vandanā」読みは、ワンダナー。礼拝という意味です。
Namo Tassa Bhagavato Arahato Sammāsambuddhassa
ナモー タッサ バガワトー アラハトー サンマーサンブッダッサ
という短い一文。
単語を細かく見ていきましょう。
【単語解説】
Vandanā
<f(女性名詞).sg(単数).nom(名詞)> 意味:礼拝
Namo
<n(中性名詞).sg(単数).nom(名詞)> 礼拝
Tassata
<ta≪人称代名詞の第三人称≫ のdat(与格(よかく):~のために、と訳します)> 彼のために
Bhagavato
<bhagavant(世尊)のm(男性名詞).sg(単数).dat(与格)> 世尊のために
Arahato
<arahant(阿羅漢)のm.sg.dat> 阿羅漢のために
Sammā(adv:副詞)正しく
sambuddha
<sambujjhati≪ v(動詞)正覚する≫のpp(過去分詞)> 正自覚者
sambuddhassa
<m.sg.dat> 正自覚者のために
こんなふうに、単語を、「性、単数または複数、格」の三つに分析します。そうすると、主語が書いていなくても動作主は誰なのか、どの語にかかるのか、などがわかってきて、二次元のセンテンスが三次元の自分の世界に立ち上がってきます。
単語からそのまま直訳すると、
【直訳】
礼拝
彼のための、世尊のための、阿羅漢のための、正しい正自覚者のための礼拝
すごく「正しい」ということが強調されていますね。
これを、日本語らしくすると……
【意訳】
礼拝
阿羅漢であり、正自覚者であり、福運に満ちた世尊に、わたしは敬礼いたします。
(引用:「日常読誦経典」日本テーラワーダ仏教協会より)
パーリ語が「はじめまして」の方は、いかがでしょうか?
パーリ語はこのようなことばの成り立ちになっています。
と、なんかわかったふうなことを書きましたが、これはアラナ精舎の木岡さん*1
に教えてもらったことです。
通信教育していただきました。(ありがとうございます)