質問
「パーリ語でローバとラーガとタンハ―の違いは何ですか?」
回答(スマナサーラ長老)
それは欲の強度ですね。
まず、lobhaローバ。根本的な欲なんですね。必要なものには自然法則によってローバが生まれます。たとえば、食べ物に対してローバが生まれます。必要だからね。のどが乾いたら水に対してローバが生まれます。
それがちょっと強くなるとrāgaラーガ。
ラーガというのは、肉体に刺激が欲しいというところなんですね。それも根本的ですけど、ちょっと脱線しちゃうんですね。のどが渇いて水が飲みたい、という程度じゃないんです、肉体を刺激したい気持ちは。リミットがなくなる。
たとえば、金が欲しい。何のためにかというと根拠がない。八十歳だけど二十歳でいたいというのもラーガですね。そこでわれわれは、異性と遊んだり音楽を聴いたりあれやこれやとキリがない。これを刺激のためと言うんですね。
各生命によってラーガの強弱があります。
tanhāタンハ―。遺伝子そのものが持っている、生き続けたいという、超根本的などうにもならないものです。ようするに存在欲ですね。
ローバは理解しておけばあまり問題にならなくなります。のどが乾いたら水を飲んで、「ああ、これで結構です」。おなかがすいたらご飯を食べて「ああ、さようなら」と。戒律を守ることでローバのコントロールができます。
ラーガも戒律を守ることでいくらかコントロールできます。よこしまな行為をしないとか酒飲まないとか。
タンハ―の制御は、ヴィパッサナー実践でしかできません。
ようするに欲のバージョン違いですね。
質問者「あともう一つ、サンカーラドゥッカSaṅkhāradukkhaとはどういったものでしょうか?」
その場合は、無常・むなしいということですね。どんな現象も壊れていくんですね。ああ、ありがたいなと思うことも不可能です。花がきれいだなと思っても、壊れているんだから。ほんの瞬間の時間だけそのように見える。すべてのものはそういうものです。太陽も壊れますからね。それがサンカーラドゥッカなんです。
東京法話と実践会 2015.12.13
http://www.ustream.tv/recorded/79709203(期間限定公開動画)1:10:00~1:05:00より書きました。