（年末特別法話 2015（１）三福田は仏法僧のこと から続きます）
三福田、三宝、パーリ語ではプンニャッケッタ。puññakkhetta。Anuttaro puññakkhettṃアヌッタロー プンニャッケッタン。サンガの特色になっていますけけどね。三宝も、アヌッタロー プンニャッケッタン、この上のない幸福なんですね。生命に対しては福田（ふくでん）であると。
その時点で、祈ったらあかんとわかりますね。幸福になりたいのはすべての人間には同じです。祈ることで幸福になるのか、夢を持つことで幸福になるのか、希望を持つことで幸福になるのか、すべての質問に単純に答えているんです。この上のない福田です、三宝は、と。福田と言ったら、理性を持って理解しなくてはいけないんです。この上のない福田だから、これに勝るものはない。でも、田んぼがあるだけでは何もなりませんからね。
ということだから、一人一人が、自分の福を耕してもらわなくてはいけないんです。場所は提供しています。
今、皆様はすごく嫌な顔をして考えているんだけどね。暗い顔をしている。仏教に来てなんで暗いのかよくわかりませんけどね。仏教と言うのは、よく笑って穏やかで、誰にでも、おばあちゃんとか、お母さん、お姉ちゃん、お兄ちゃんと呼び合っている世界なんですけど。わたしたちはそうなんです。どんな人でも、顔を見たら年齢がちょっとわかるんだから、お兄ちゃんか弟か、娘さんかお母さんか、すぐに親戚同士なんですね。
直ちに家族の気持ちになっちゃうんですね。そういう生き方と言うのはすごく気持ちがいいんです。人間と言うのは全然迷惑に感じない。暗いということは、わたしは見たことがないんです。タイであろうが、ミャンマーであろうが、スリランカであろうが、暗い顔をいている人っていうのは。存在しない。
では、日常の苦しみがないかと言うと、派手にありますよ。そういうことはあっても、けんかしながらあれやこれやと頑張って生きているんですけど、基本的には暗くない。
昔、NHKのテレビをみました。かなり前なんですけど、バンコクですごい洪水になっちゃって。ボートで非難しなくちゃいけない、町の中で。批判もありましたけどね。王様が住んでいるところに水が行かないように、政府がほかのところに水を流しちゃったんで、一般人の家が全部潰れちゃった、どういうことかと。
わたしが言いたかったのは、屋根の上やいろんなところで非難している子供たちをボートに乗せると、ものすごく喜んで遊んでいるんですね。家がやられちゃったことは、子供たちにとってはどうでもいいんです。だから、日本人にとっては変に見えるんです。なんで泣かないのかと。大震災があって、今でも泣かす番組を毎日やっているでしょう。死後も地獄へ行きたいんでしょうね、泣きっぱなしの人生に。なんだこれはと。意図的にそういうテレビプログラムを作るんですね。子供達も、かなしいBGMで演じなくちゃあかんですね。
これはいくら何でも、ものすごく気持ち悪いんですね。特に子供っていうのは、何かあってもすぐに忘れる性格でしょう。これで、スクリプトを書いて持って行ったら、その通りにやらなくちゃいけない。子供達も素直に言う通りにやるんですね。「そんなことどうでもいいだから笑っちゃえ」と言わなくちゃあかんところで、逆にする。
とにかく仏教の世界っていうのは、明るく楽しく生活する世界なんです。そうするしかできないんですね。災害で不幸になるというのは嘘で、毎日生きることは災害なんです。生きること自体が。瞬間瞬間、細胞たちが死んでいく。細胞たちも生き続けたいでしょう。でも死んでいくんです。全体的に遺伝子が壊れて死んでいくわ、いつでも、暗い先しかないんです。先の瞬間が暗いんだったら、今のほうがマシでしょう？
われわれの十年先が、からだが壊れてひどい状態だと推測したら、今の状態は最高でしょう？ だから、今が楽しくなきゃ、何が得られる？
と言うわけで仏教の世界は、瞬間瞬間、楽しい世界です。明日の瞬間に期待しません。だから、日々、楽しく生活することは仏教的な生き方なんです。
わたしの話が理解できないのは、すごく固い顔をして聞いているからなんです。まぁ、どうでもいいや、楽しくいるぞ、と思って聞いていると言っていることがわかりますよ。
（年末特別法話 2015（３）柔軟になる に続きます）
スマナサーラ長老・東京年末特別法話 2015.12.23
http://www.ustream.tv/recorded/80316896（期間限定公開）より書きました。
Twitter実況:http://twilog.org/jtba_talk/date-151223/asc
