ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

東洋は他宗教信仰-ブッダが説く諦めとは何か(2)

ブッダが説く諦めとは何か(1) から続きます)

わたしはずっと言っていますけどね、「仏教は宗教ではありません」と。それで誤解するのはね、皆様、というか一般人の性格ですが、「わたし(スマナサーラ長老)が宗教を批判しているんだ」と。でも、そうではない。

 

まず、なんで仏教は宗教じゃないというかと言うと、西洋的な思考でこう言います。「Buddhism in not religion, cannot set up believes.」

日本は西洋人からちょっと笑われているポイントがありますね。宗教がハッキリしないんだと。いろいろと宗教を信仰していて、一人の人間が二つ三つと宗教を持っているんだと。これは、日本ではおかしくないんです。だいたい、宗教は二つですね。古い人間なら、まず神道がありまして、それから仏教があります。両方やっているんです。一つだけやっていることはないんです。歴史上では政治家が、残酷なことをやったんだけど、一般民衆はそうじゃなくて両方やって来たんですね。

 

西洋思考で見ると、宗教二つというのは、なんだそれはと。なぜならば、西洋思考の宗教と言うのは、排他的なんですね。だから、一つしか信仰できない。そういう目で見たら、日本の方々もおかしい。日本人だけじゃないんですよ。結構アジア人は他宗教なんですよ。ちゃんと科学的に、民俗学的に、学問の目からみると、中国人もマレーシア人もインドネシアミャンマー、タイ、スリランカ、インド、結局はみんな他宗教なんです。

 

だから、日本人に聞いたらはっきりしていますよ。宗教は二つだよと。インド人に聞いたらどのくらい持っているかわからない、本人にも。だから大雑把に「ヒンドゥー教だ」と言うんです。ミャンマー人にきいても、どれくらい宗教を持っているかわからない。だから、「仏教だ」と言うんです。

 

それで、西洋で宗教を研究する人々は、「これは日本だけだ、他宗教を信仰するのは」と思っていますけど、これはわたしが学問的にみて、わたしの国の人々も、どのくらいの数の宗教を信仰しているのかわからないんです。なんでもご利益があれば、信仰するという。ご利益があれば信じます、ということで話が終わります。結構気楽です。

 

だから宗教同士で争う必要はなくなるんです。それで、ヒンドゥー教は世界宗教ではないんだけど、インドが世界第二位の人口だから、信仰している人は多いんです。仏教は世界宗教で、キリスト教イスラム教も軍事力で世界宗教になっているんですよ。しかしもともと、そちらも世界宗教ではなかった。誕生したときは。民族宗教で、鉄砲や刀を持って広まっていった。

 

仏教は生まれたときから、産声を上げたときから人類の教えでした。そこで、ヒンドゥー教という巨大な宗教があって、仏教と言う巨大な宗教がある。スリランカに行くと仏教徒は何の躊躇もなくヒンドゥー教の神々を拝んでいるんです。スリランカヒンドゥー教徒は少ないし、お祭りをやるお金も十分にないけれど、金持ちの仏教徒がどっかーんと金を出してインド寺院のお祭りをする。親切で、かわいそうだから協力してあげるということではないんです。真面目にお布施をして、参加して、協力する。ということは、スリランカ人も宗教を二つ持っているということでしょう。

 

それで終わらない。いろいろと土着的な信仰もありますからね。それを一つも捨てません。全部信じる。信仰する。

 

そういうことだから、東洋というのは他宗教民族なんです。ですから、仏教はそこに迷惑をかけないで、人間の日常の生き方を混乱させないで、正しく生きる道を教えるんです。だから、「仏教は宗教ではない」とわたしが言う場合は、皆様がたくさんの宗教を信仰したければどうぞご自由に、ということです。

 

しかし生き方は、どう生きるべきかということは誰も教えてくれないでしょう。学校でも、大学でも、会社でも。ただお母さんだけが頑張りますけど、お母さんもよくわかりませんからね、教えられないんです。

 

ブッダは、どう生きるべきかということを教えているんです。残念ながら宗教はそれを教えていないんです。宗教の世界では、巨大な宗教の場合は、神を信じなさい、神が言った通りのしきたりを守りなさい、と。

 (西洋も他宗教信仰-ブッダが説く諦めとは何か(3)に続きます)

 

関西定例冥想会 2012.07.15 ブッダが説く諦めとは何か

http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1766862.html より書きました。

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