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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論

塩 地球からの贈り物

「塩 地球からの贈り物」片平孝著 を読んだ。

地球上の塩の産地を撮った写真集だ。

 

塩

 

 

 「はじめに」から。

「地球表面の70パーセントを海が覆っている。海水には3.5パーセントほどの塩分がとけている。そのうちの80パーセント近くが、人の生命維持に必要な塩化ナトリウム、つまり塩である。あらためて地球の恵みを感じてしまう。」

 

「残念ながら、日本には岩塩も塩の湖もない。(中略)

人びとが狩猟生活をしていた時代は、動物や魚介類を食べて、その中に含まれる塩分をとっていた。農耕生活をするようになると、米や麦など植物性の食べ物が主食になり、体の塩分不足を補うとともに、食料の保存などのために塩の需要が増えていく。

塩をとる人たちは、落ちている塩をただ拾ってくるわけではない。命の危険をおかし、厳しい労働の末にやっと手に入る。それが地球からの贈り物である塩の姿だ。」

 

岩塩も塩の湖もない日本が、どのように塩を得ているのか?

その方法は、世界でも独特だそうだ。

昔は、天候に左右される「塩田」で塩を作っていたが、現在は工場で「イオン交換膜法」という電気透析の技術を使っているという。海水から濃い塩水を作り、真空式の蒸発窯で塩を取り出す方法だ。

日本の気候は湿度が高く雨が多いので、天日で乾燥させて塩を作れないそうだ。

 

塩は、食べるためだけではない。 

「塩の木」(本書 p253より)

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塩は、食品としてだけでなく、

一般工業用として、革製品、合成ゴム、塗料、医薬品。

ソーダ工業用として、

(1)ソーダ灰では、鉄のレール、テレビ用液晶ガラス、鏡をつくり、

 (2)塩素では、水道水の消毒、漂白剤、接着剤、音楽などのCD、塩化ビニール製品を、

(3)苛性ソーダでは、ティッシュペーパー、アルミホイル、新聞紙、石鹸、合成繊維

などの製品を作る際にも、塩が必要になっている。

塩なしでは肉体だけではなく、現代の生活も維持できない。

  

人間が、肉食を主とした動物として生きているうちは、塩をたくさん必要としなかった。

けれど、草食の比重が高まってきて、かつ生活様式が「発展」していくと、大量に塩を手に入れなければいけなくなったということになる。

日本では、工業用の塩のほとんどは、海外から輸入しているという。

 

南アメリカボリビアのウユニ塩湖のように、塩を切り出す斧とスコップで、塩が手に入る「うらやましい世界」は珍しくて、多くはタウデニ岩塩鉱山(南アフリカ・マリ)のように、「かつて奴隷が掘っていた塩を、軍事政権時代には政治犯の囚人が強制労働で掘るようになり、今は借金の支払いのために送られてくる男たちが必死になって働いて」塩を掘り出しているそうだ。

 

「地球の恵み」である塩。

 しかし地球が人間に恵んだ塩は、本来、ほかの肉食動物と同じように、草食動物の肉を介してだった。それ以上に塩を欲したときから、塩を得るための苦難が引き起った。

地球は、現在のように多量の塩を人間に恵むつもりはなかっただろう。

 

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(本書 p249より)

 

では、自分がライオンのように生きたいか? と考えると、絶対に嫌だと思う。

でも、ライオンと自分と何が違うのか? 道具を使うこと、塩を多量に使うこと、肉だけじゃなくて草もたくさん食べること? 

ライオンのように生きたくはないけれど、自分とライオンにどれほどの違いがあるのだろうか。

 

「生きるとは何なのか?」と思いながらページを繰った一冊だった。

 

 

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