(善行為が成り立つ秘密 - 新年法要2016(8)から続きます)
なんでそこが善行為になるのか、秘密を憶えてください。
それは、自分に対する執着を、制御する・管理する・控える。あのところで善行為になって幸福になる。あのエネルギーなんです。人間にしても、殺生しないという戒律は自我愛があり過ぎになるとできないんです。自分に対する愛着をいくらか減らさないと。
一番わかりやすい例は、蚊が来るとパチンとやっちゃうでしょう。
自分に肉体に対する愛着でしょう。蚊が血を吸ったからと、自分が死ぬわけではないけれど、でもあげたくはないんですね。すぐ殺しちゃうんですね。だから悪行為になるんです。
悪行為は肉体に対する愛着から生まれるものなんです。
肉体に対して愛着を減らすからくりをやると、すべて善行為なんです。嘘をつくなよという戒律がある。嘘をついた方が便利です。自分のために嘘をつくんです。自分を守るために。そこで嘘は罪になるんです。
子供達に、昔々あるところに……と物語を読む。
あれも完璧に嘘でしょう。でも、それは嘘を言ったことになりません。子供に物語を読んだからと言って、嘘をついたという罪になっていないんです。
わたしたちはもっとすごい嘘をつくでしょう。
どこかで自分を守っているんですね。だから、おそろしい悪行為です。悪行為をしたんだから、自分を守るつもりでしたけど、守られていないんです。
嘘をつかないことで、自己愛・執着が減るならば、すばらしい善行為なんです。
なぜならば、執着がすべての悪の根源です。怒り・嫉妬・憎しみ・恨み、いっぱいあるでしょう。これって存在欲から出てくることです。そこは減らすんです。
だから、自分をだまさないで、
「わたしたちは一日、一日、歳を取るんだ。誰だって死にますよ。命は短い時間でしょう。その短い時間で、この恐ろしい生き方で何をやっているのか。人の財産まで奪って」とみる。
(ヴィパッサナー実践がうまくいかないのは - 新年法要2016(10) に続きます)
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