ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

パーリ経典解説(梵網経1) - 第一段落

前回の「はじめに」に続き経典の第一段落からみていきます。

 

長部経典 第一 梵網経

Dīghanikāyo Sīlakkhandhavaggapāḷi 1. Brahmajālasuttaṃ Paribbājakakathā

パーリ語http://www.tipitaka.org/romn/cscd/s0101m.mul0.xml より)

 

  1. Evaṃ me sutaṃ – ekaṃ samayaṃ bhagavā antarā ca rājagahaṃ antarā ca nāḷandaṃ addhānamaggappaṭipanno hoti mahatā bhikkhusaṅghena saddhiṃ pañcamattehi bhikkhusatehi.

Suppiyopi kho paribbājako antarā ca rājagahaṃ antarā ca nāḷandaṃ addhānamaggappaṭipanno hoti saddhiṃ antevāsinā brahmadattena māṇavena.

Tatra sudaṃ suppiyo paribbājako anekapariyāyena buddhassa avaṇṇaṃ bhāsati, dhammassa avaṇṇaṃ bhāsati, saṅghassa avaṇṇaṃ bhāsati; suppiyassa pana paribbājakassa antevāsī brahmadatto māṇavo anekapariyāyena buddhassa vaṇṇaṃ bhāsati, dhammassa vaṇṇaṃ bhāsati, saṅghassa vaṇṇaṃ bhāsati.

Itiha te ubho ācariyantevāsī aññamaññassa ujuvipaccanīkavādā bhagavantaṃ piṭṭhito piṭṭhito anubandhā [anubaddhā (ka. sī. pī.)] honti bhikkhusaṅghañca.

 

(ここより解説:スマナサーラ長老) 

あるときお釈迦様が、ラージャガハとナーランダーの間を歩いていた。

五百人くらいのお坊さんたちと。

 

そんなに大勢の人たちと歩くということは、現代のデモみたいな感じで、かなり大騒ぎでしょうね。

 

そこで、スッピヤという遊行者*1も、同じ道を歩いているんですね。

王舎城(ラージャガハ)からナーランダーと言う場所へ。

 

ここは、街と言う単語を使っていないので、州くらいの広さなんですね。

 

そのスッピヤさんが、ブラフマダッタといういくらか若い人と一緒に旅に出ていた。

ブッダの一行は五百人、スッピヤさん一行は二人。

だいたい、宗教が違っても一緒に行くんです。

 

スッピヤ先生が、あらゆる言葉でブッダの悪口を言う。

ダンマを批判する。サンガの悪口を言う。ハチャメチャ悪口を言う。

 

大変苦しいでしょうね。

長い道を歩いていく。何か月間かかるかわからないし。朝から晩まで仏法僧を批判して一緒に歩くということは、相当大変だと思いますけど(笑)。

スッピヤさんの弟子のブラフマダッタさんは、あらゆる方法で仏法僧を讃嘆するんですね。二人の喧嘩だから、お坊さんたちには関係ないんですね。

 

師匠は仏法僧を批判する。弟子は仏法僧を讃嘆する。

師匠と弟子が互いに真っ向から反対意見に達しているんですね。二人は、お釈迦様の弟子たちの後ろから行くんですね。とにかく一緒についていくんですよ。それは旅の安全とか便利だということもあるでしょう。長い道のりでしょうし。

それは問題ないんだけど、お釈迦様の一段の後ろから、二人が互いに喧嘩しながらついていっているんですね。

(第一段落終わり。次回はパーリ経典解説(梵網経1) - 第二・三段落 ) 

スマナサーラ長老による経典解説http://www.ustream.tv/recorded/84866551 (期間限定公開動画)

最初~14分頃まで聞いて要点のみメモしました。>

 

長部(ディーガニカーヤ) 戒蘊篇I (パーリ仏典 第2期1)

長部(ディーガニカーヤ) 戒蘊篇I (パーリ仏典 第2期1)

 

 

 <今回の驚き\(◎o◎)/!>

スッピヤ先生が仏法僧をさんざんののしりながら、それでも後についていくっていう構図はおもしろいですね。

500人vs自分一人で文句を言いまくるのだから、スッピヤ先生がよほど強気な方か、お釈迦様はじめお坊様たちが決して自分に危害を加えないと安心していたのだろうなと想像します。

そう考えると、スッピヤ師は仏僧を侮辱しながらも、自ら仏僧の偉大さを実証してしまうという結果になっています。

弟子のブラフマダッタさんが、仏法僧を侮辱する師匠から離れずにいるという点も、そういうスッピヤ先生の憎めなさにあったのでしょうか。

 

そういう事情があったかどうかわからないけれど、不思議なことに、ブラフマダッタさんは師匠と喧嘩してまで仏法僧を讃嘆しつつも、その場でサンガに加わることなかったみたいですね。

お釈迦様ご本人が前方にいるという、ものすごいチャンスを得ていたのにです。

このあたりの微妙なブラフマダッタ青年の心理は、わたしたちにも思い当たるところがあるような気がします。

 

 

目次7‐経典 /仏教と日本、仏教哲学 - 瞑想してみる

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*1:paribbājaka パリッパージャカ :いろいろな宗教を信仰している人々をひとまとめにして言う。沙門と言うのは出家して托鉢して生活する人々。それからバラモンは、在家ですね。インドの一般的な誰でも信仰している宗教ですね、バラモン教は。彼らは在家で、修行はしない。お釈迦さまのグループは沙門で、パリッパージャカには入りません。(スマナサーラ長老)