質問
「昔から、思ってもいないことが口から出たり、金縛りになったり、体が操られたりする感覚になったりします。
冥想を続けることでこういう現象はなくなりますか?」
回答(スマナサーラ長老)
あなたは、妄想・迷信・くだらない思考をして、自分の状況を解説して理解しようと努力しているんですよ。それがマズいと思います。
物事を解説して理解しようとするのはやめたほうがいいんです。なぜならば、すべて原因を知っていたら解説はいりません。答えを探し求める必要はありません。
証拠はない、わからない。それでなんとか解釈して、言い訳を作って納得しようとするんですね。これって脳はね、嘘であっても落ち着きたいという気持ちですからね。
このケースは、神経の伝達する問題だと思いますよ。
血圧にしても人はそれぞれ違うでしょう。だから電気信号をあんまり伝達しない、または伝達するの違いだと思いますよ。電気信号を伝達しないと、細胞たちがどうすることもできなくて止まるんですね。それは俗にいう金縛りなんですね。本来は、情報が行ったらすぐに返ってこないとね。それは恐ろしい速さで起こるんです。
行ったのは行ったんだけど、戻るのが遅くなると体が動かないんです。そこに執着する……恐怖感も執着なんです。心配することも執着なんですよ。執着すると、脳がその状態をリピートするんです。
だから、いくらか体を、細胞を動かして、運動でなくてもいいんだけど、しょっちゅう体を動かしているというね。血液の流れをよくすると神経の流れもよくなっていく。
今回の場合は、肉体的なところから始めなくちゃあかんですよ。
いきなり、こころからアクセスしても意味がないと思います。意味がないんじゃなくて、難しいんです。
冥想して治すことよりは、まず体調をしっかりして、治してください。
そこらへんね、細胞を動かしてもらう。派手な運動っていうのは二、三十分で終わってしまいますから、そうじゃなくて、起きたときからコソコソコソコソ、と何かやっている状態。
質問者「仕事をするということですか?」
それだけじゃなく、何かやっているというね。体を休めない。いつでも何かやっている。
たとえば、派手な仕事を一時間した。そうしたらちょっとひとやすみだ、とそれは良くない状態なんです(長老、腕でバッテン)。
だから、なんとなく本を片づけるわ、何か書くわ、掃除してみるわ、洗濯物をするわ、服をたたんで置いておくわ、とかね。何かしら何かやっている状態でいてください。
それで脳が活発に動いて、この伝達問題は解決すると思います。
お医者さんに行ったっても、これは病気としてみられませんだからね。基本的なところですからね。システムのことだからね。精神異常でもないんです。
質問者「原因が霊だとかそういうことでは?」
それはあなたが勝手に……。
憑いているんだったら捕まえてください。
そういうことで、あなたは納得したいでしょ? それは脳がそういう状態を続けたいということになるんです。はめられます。
そんな証拠がないものを妄想しないでください。
質問者「体が動かなくなったりとか……」
だからそれは、神経の電気信号がうまく行っていないんです(笑)。それだけ。だからわたしが言ったことをやってみて。とにかく、何か落ち着きのない人間みたいに、何かやっているという。
それは役に立つことをやってほうが、あなたの家族も喜ぶし、庭の手入れするわ、雑草を取るわ、植木鉢を持って来て花を育てる、なんでもいいんだからね。そこは役に立つようにすれば周りも喜ぶし、あなたも喜ぶし。
細胞組織を休ませないことなんですね。しかし、激しく動かしちゃうと、疲れて、疲労物質が出ますから、痛くなっちゃうんですね。そうではない状態で、ちょうどいいところで、体を目が覚めたときから寝る時間まで動かしてやる。
そうすればすぐ治ると思いますよ。
迷信的に考えてしまうのは要注意です。
たとえば、一日、わたしが言ったことを実行しました、とする。その夜は元気に寝た。それでも、「今日は幽霊が出なかったんだからね。明日は霊が出るかも」と出てくるでしょう、考えが。
科学的にやらないと。「あ、なるほど、昨日は結構疲れたし、よく寝たんだから、今日も同じやり方でやるぞ」と、そういうやり方でやらなければいけないです。
(関西月例冥想会 2016.3.27)