前回
池の鯉の例でも憶えておいてください。
鯉にエサをあげると、鯉たちがお互いに競って食べちゃう。それを見ているわたしたちも楽しい。しかし、鯉は何にもやってくれないし、「この鯉食べたい」と思ったっても、禁止ですから、ああいうところの鯉を捕るのは。
そういうことも頭に入らないんですね。
だから釣りに行ってエサを出すとのはずいぶん違うでしょう。
漁師さんたちもね、イワシとかエビとかを海に撒く。そうすると、自分たちが狙っていた魚がやって来て、それを網で全部捕っちゃうんですね。あれは欲と怒りそのものなんですね。
それと比べて、わたしたちが池の鯉にエサをあげているときの差が、どうですか。
そちらに、欲と怒りが伴わない喜び・やる気が出てくる。
そういうわけで、仕事をするときに、「わたしのせいで問題を起こしません」と考えておけば。
お母さんが子育てをする場合、お母さんの仕事だけ区分けしてね。余計なことまでやっちゃいますからね。
やるべきこともやっていないくせに。余計なことをやって、それでトラブルが起こりますけど、母親として、子供にやるべきことをビシッとやって、「なんか文句あるのかい?」と、そういうふうにやれば、まあ、うまくいきます。
「わたしは問題を起こしません」と各自で頑張れば、うまくいきますよ。
子供たちも、「わたしは問題を起こしませんよ」と頑張る。そうするとすべて問題が消えているはずなんです。子供が問題を起しちゃうと、お父さんが怒るわ、お母さんが怒るでしょう。先生たちも怒るでしょう。
子供が自分で「わたしは問題を起こしませんよ。お母さんを怒らせませんよ」と頑張ってみれば、問題なく成長する。
同じようにお母さんもお父さんもやれば、誰にだって問題がないんです。
会社でも同じようにやれば、欲も怒りもなく、やる気があって、喜びがあって、充実感がある社会が、たちまち現れるんです。
(おわり)
最初から読む:
法話・スマナサーラ長老 関西月例冥想会 2014.6.01
http://www.voiceblog.jp/najiorepo/2047354.html を聞いて書きました。
パティパダー巻頭法話No.187 (2010年9月)
なぜ皆、覚らないの? ~仏道の軌道修正の仕方~
Not to be a failure do not spoil your path
この例で、人間のひとつの弱さが見えてきます。やる気・意欲があっても、持続できないみたいです。気が緩んでしまうのです。それで期待する結果は得られなくなるのです。これは誰にでもある弱みかも知れません。