質問
「夜寝るときに、すぐには寝られないものですから、ラジオを聴きながら寝ていますが、あまり良くないですよね?」
回答(スマナサーラ長老)
人は音楽を聴くときは好きな音楽を聴きますから、その妄想の世界に入っちゃうんですね。
ですから、人類のことを心配して慈しんで歌うものは、人間を応援している歌はいいのです。
失恋したとか、妄想して別れるかどうかとか、そればかりで最低だと思います。泣きながら。
全然失恋していない人々も、その歌を聴いてその世界に入ってしまう。
若いときはね、メロディがよければいいんです。
それは若いときだけですからね。身体がなんかちょっとリズムに乗るというのは。今はそれはないんだからね。やろうと思えばできるんだけど、なんかバカらしい。乗ってみようかな、と思っても、バカらしい、と思っちゃうしね。
だから音楽というのは、本当に人類に対して慈しみとか思いやりとか、負けるなよというメッセージなら、いくらかわたしにも聴いていられます。
日本の歌手でも、「聴きたくないな」とわたしが思っている歌を、ある歌手が大震災の復興のために歌っていると、そのときは聴きます。やっぱり違うんですよ。そのときは金をもらうためではなくて、支援をするためにチャリティーショーですね。
アメリカでも何回か、チャリティーショーで歌っている歌を聴いて感動したんですよ。
どうしてもCDよりはレベルが低いでしょう。CDというのは機械で作るものだから、ものすごく精密に、何百回も歌った中からいいところだけを取って、取って、繋げて、繋げて、作るものだから、完全な作品なんですよ。
生で歌う場合は、人間だからね、失敗しますよ。
演奏も生だからね。そんなにたくさん揃ってできるわけないでしょう。
でも感動するんですよ。
なぜでしょうかというと、その歌手は、人びとのために歌っているんですね。
We are the worldという歌を有名人で集まって歌ったでしょう。
そのときにみんなひとことひとこと、しゃべったでしょう。でも、ほんのひとフレーズなんですよ。一秒程度の。
しかし、それを聞くと「さすがこの人々は立派ですね」と思っちゃうんです。
必死で歌うんです。
全身全霊で、みんなで子供たちを助けてあげたいという、それがわれわれのこころが清らかになるし、いまだに聴いても感動しますよ。We are the worldという歌は。
汚れた気持ちが生まれてこないでしょう。
だから、そういうのは、歌って言うのは人間のコミュニケーションの一つですから、それぞれどのように表現すればよろしいかと。
わたしも講演によってはパワーポイントを使ったりするし、それも表現力なんですね。
あらゆる工夫、絵を描くことも何かを表現することでしょう。
絵でしか表現できないんだから、絵を描く。
絵で表現したいものは歌では表現できませんからね。
人間の表現の仕方の中の一つでありましてね。歌こそ世界共通の言語だとかそんなくだらないことではなくてね。なんか歌った方がよりインパクトがある、というのであれば、それが通じますよ。
ということで、人が歌を聴くのはどうしようもないことなんです。
できればそういうふうなものも、もっと道徳的で人類を愛する、生命自然を慈しむ、思いやりのある歌を選んだ方が、こころが汚れません。
(続きます
<「手放すことが生きること」スマナサーラ長老との対話(2012年12月09日)
https://www.youtube.com/watch?v=xL37dMGnF9E を聞いて書きました。>
《お知らせ》
11月3日(明日ですよー)、東京のゴータミー精舎でカティナ衣法要が行われます。
詳細外部サイト:ゴータミー精舎『カティナ衣法要』雨安居明けお布施式
カティナ衣法要についてスマナサーラ長老の解説:
外部サイト・仏教徒が衣を布施する大法要
母へプレゼントに災害用ラジオを贈りました。