質問
「覚りをひらいたと長老が思われる人は、どれくらいの頻度で現れますか?」
回答(スマナサーラ長老)
どのくらいの頻度で覚るかというのは、これはどうしても答えられないんですよ。
人間が素直に、素直に言う通りにやれば、一日でも十分なんです。
問題は素直にやってくれないんですね。
素直にやらせることは不可能です。
自分だけの問題だから。
お釈迦様も、このことを言っていました。
その質問をお釈迦様にした人が、人間の能力範囲を超えているんだと、その人にわかりました。
「あなたが言うことは、この世の中でありえないことだ」と。
いくつかの質問がありましたけどね。
「あなた(お釈迦様)以外に覚った人がいるのか?」
「いくらでもいますよ」
と答えたところで、次に証拠もある、覚った人の。
「どのくらい時間がかかるのか?」
「あのね、正直で素直な人を呼んできてください。午前中修行したら、素直な人なら昼になる前に覚りますよ。昼を過ぎてから修行したら、午後になってくるともう覚っていますよ」
とお釈迦様は仰っています。
しかし、お釈迦様にしても、相手が素直であるかどうか、という点はどうしようもできないんです。これが言葉は簡単だけど、「素直である」ということは難しいんです。
わたしたちはずーっと自分を騙しているんです。
自分を見せているんです。
どんな人間にも、裏と表、本音と建て前があるんです。本音と建て前がぶつかっちゃうと、面倒くさいんだから、どんどん本音を消しちゃうんです。ないことにする、あるんだけど。だから素直でないんです。
これはかなりややこしい問題なんです。
たとえば、自分の性格が悪くて、友だちの間でもあまり立場がないし、いろいろ言われる。「じゃあ、冥想してやるぞ」と思った瞬間で、周りの人々に見せたいでしょう? 落ち着いた人間になってやったぞ、と。それは素直じゃない。自我なんです。そうすると、覚りには達しません。
誰にも言いたくはないし、
自分でも喜んで舞い上がる必要はない。「やったぞ!」と。
自我なく客観的に研究すれば、すぐ覚れます。
結構大変やと思います。
修行自体は難しくないんです。
冥想は難しい、ということはない。冥想ほど簡単なことは世に存在もしない。
冥想というのは、ブッダに説かれた実践方法のことです。それほど簡単なものは存在すらしない。
歩くこと、何も難しくないでしょう。
では何で覚れないのか? というと、この「素直」の問題があるんです。
それはご自分で修行を始めたら見えてきますから、見えてくるたびにどんどん素直になっていけば、早く結果を出します。
わたしに言えるのは、結構、結果がありますよ、と(笑)。
覚っているかどうかは措いておいて、みんなそれなりに、修行始めた人はほとんど、人格は向上はしています。
わたしが言っているのは、簡単なことでやったぞと思わないでください、と。
簡単に納得しないで、さらにさらに、続けてみてください。
「ああー、よかった。家族関係もよくなった。みんな幸せになりました」で終わっちゃうと、終わりですね。
「仕事も前よりはすごくできるようになっちゃった」と自分を褒めて終わったら、そこで終わっちゃうんですね。
そこでちょこっと、満足しないで、さらにさらに、前に前に、行きます、ということを気をつけたほうがいいですね。
どうしたっても修行する人々は、「まだ仕事が残っているんだ」という気持ちが必ずあるんです。
途中で迷うかもしれませんけど、「修行は完成していない。まだ残っている」という気持ちがこのプログラムではあるんです。だからそこは全然心配する必要はないんです。
簡単なことで納得しないで前に進む方々が、よろしいんじゃないかと思います。
それ以上は答えられませんね。
(終わり)
《スマナサーラ長老 東京法話と実践会 2016.10.30
http://www.ustream.tv/recorded/92526227 (期間限定公開)を聞いて書きました。》
#jtba【再掲】11/19(土)初期仏教 月例講演会『こころのストレッチ ~人生を自由自在にする方法~』予約受付中 講師:スマナサーラ長老 会場:日暮里サニーホール ぜひ、ご参加ください。お待ちしております。 https://t.co/6EgpPU3XYX #仏教 #講演 pic.twitter.com/UtVrErUFAm
— 日本テーラワーダ仏教協会 (@jtba_info) 2016年10月28日
申し込みは明日金曜日の昼12時まで。
-=≡ヘ(* - -)ノ ダッシュ!
以前、日暮里が会場だったときの周辺案内過去記事です:
初期仏教 月例講演会「承認欲求のトリセツ」 (1)谷中散策篇
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