ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論

原始仏典―その伝承と実践の現在― (サンガジャパンVol.25)《スッタニパータ(経集)第五『彼岸道品』一、アジタ仙人の問い〔前編〕》

原始仏典――その伝承と実践の現在―― (サンガジャパンVol.25)

今月出たばかりのサンガジャパン。さっそくページを開いた先は、「スッタニパータ(経集)第五『彼岸道品』一、アジタ仙人の問い〔前編〕アルボムッレ・スマナサーラ」です。

 

この連載のもととなった経典解説講座を受けました。スマナサーラ長老の繰り返されるため息が印象に深く残っています。

長老のため息の理由は、「仏教を理解したい人々は、ふつうは自分の知識に適したわかりやすい経典から始めるものなのですが……。皆さまは覚悟ができているでしょうか?」(本文、174p)

これを意訳すると「こんな難しい経典を、理解できそうもない皆さま相手にどうやって説明すればいいんですかねぇ…ハァ……」になるかと思います。

 

そんな苦心の末の解説が文章になり、さらに「質疑応答」が二問ついています。

二問めに、Dukkha苦とBhaya恐怖の説明があって、これは一読をおすすめしたい重要ポイントです。一部抜粋すると、

これってすごい危険(Bhaya)だよとわれわれがいうのは、いつでも先のことに対してなのです。そうではない、危険なのは今ですよ、と教えているのです。(略)

釈尊が四聖諦の説法で「生きることは苦」と説かれた時点で、永遠の天国や永遠の地獄といった神話物語は、全部捨てられたのです。(188p)

 

この経典の対話相手はアジタ仙人です。「アジタさんみたいな方にはズバリと真理を説くし、相手がどこまで研究しているのかというところで(説法の内容が)決まるのです。」ということで、釈尊が放った衝撃波《「何が危険って? 今まさに危険のさなかにいますよ」(筆者意訳)》は、仙人でなければ真に受け止めがたいものでしょう。

 

 

さて、本書の目次をご紹介します。

  • 大乗仏教は大乗経典に基づく教えか?――大乗仏教理解と阿含経典」 吉村 均
  • ティク・ナット・ハンの原始仏典解説を読むために――ティク・ナット・ハンの瞑想三部作の完結にあたって」 島田啓介
  •  「経典に沈黙を読む坐禅瞑想に沈黙を知る――パーリ経典翻訳の第一人者に聞く、経典の読み方」 片山一良
  •  「パーリ経典に基づくテーラワーダ仏教の国――ミャンマーの瞑想指導者」クムダ・セヤドー

 

このほかにも、世界平和パゴタのご住職インタビューや、インド ブッダガヤの冥想家たちのインタビュー集など、読んでみたら予想外の面白さでした。

 

この本のタイトルは「原始仏典」となっていますが、実は中身は、全般的に冥想実践者向けだと感じました。

仏教は理論と実践の二つが揃ってのもの。だから原始仏典特集が実践の部分に繋がるのは当然といえば当然でした。

先日のスマナサーラ長老の法話でも、「仏教は、principle, practice, verification(理論、実行、証明)の三段階でおこなう」というお話があったばかりですね。

 

ということで、いわゆる冥想クラスタにもおすすめです?