紅茶の素晴らしさに魅せられた著者が、仕事を辞めてスリランカへ渡った「体当たり紅茶修行の一年日記」。
スリランカの各地で、一般家庭に居候して暮らす様子はとても興味深い。
2006年に出版された当時、一度読んだ覚えがある。最近久しぶりにこの本を目にして、もう一度読んでみた。
仏教徒の「ポーヤディ(満月の日)」のことも書いてあった。
スリランカでは、毎月最低一度はめぐってくるこの満月の日、ほとんどの学校や仕事がお休みになる。祝日だ。
仏教徒はこのポーヤデイにはお寺に行き、丸一日修行する。このことをシルという。
単純に、「いいな~」と思ってしまう。
著者の滞在中の2001~2002年は、タミール人過激派組織によるテロが激しい時期だったそうだ。
また著者は、昼間は家の人たちとざっくばらんに談笑している使用人が、夜になるとガレージの中で一枚の毛布にくるまって眠る様子に、階級制度の現実をみてショックを受けている。
その他には、シンハラ人の家だけでなくタミール人の家に居候したり、イスラム教徒の家庭で暮らしたり、最後には選挙の時期に治安が乱れやすい南部で、キリスト教の修道院で生活していたりと、多彩な体験談で飽きずに読める。
スリランカの滞在記は現在に至るまであまり多くないようだ。
そんな中で、本書は貴重な一冊ではないかと思う。