質問
「人の本性は悪だとお釈迦様は仰っているそうですが、赤ん坊のころは、どうなのでしょうか?」
回答
(スマナサーラ長老談)
人間は貪瞋痴を持っていますから、不善だと言わざるを得ないんですね。
しかしみんな共通して持っているものだから、善悪という判断はできません。
しかし、覚ったひとからみると、それは不善と言わなくてはいけないという話なんです。
だから「あなたは悪人だ」と糾弾しているわけではありません。
赤ちゃんも貪瞋痴を持っている。大人と違うところは、赤ちゃんの貪瞋痴はかわいいし、われわれの貪瞋痴はかなりひどい、気持ち悪くてしょうがないんですね(笑)。
赤ちゃんのわがままはかわいいでしょう? しかしわがままはわがままですよ。
われわれのわがままはかわいいどころじゃないんですね。
親がそれなりの人格があるならば、子供を教育するとそれなりの人間に育ちます。
やらなくてはいけないことは、貪瞋痴をいかに制御するのか、ということです。
だから母親が、子供のわがままを聞いているんだけど、同時にジワジワと「そこは抑えなさいよ」と言わなくてはいけません。
われわれの子供に対する仕事は、自分のわがままな感情をいかに制御するのかと教えてあげることなんです。
煩悩をなくすことは、本人が大人になってから自分で考えなくてはいけないことです。
親にできることではありません。
(東京 法話と実践会 2017.01.09 説法めもより)