質問
「自分の両親との関係に悩んでいるのですが……」
回答(スマナサーラ長老談)
各家庭の親子関係が違いますから、わたしには一般論しか言えません。
親はいろいろなんですね。自分が知っているのは自分の親だけです。
独裁的な親、子供の機嫌を取る気が弱い親、いろいろいますが、共通して言えるのは、子供のことを心配している。子供に対してすごく愛着がある。こどもにこうなってほしい、という気持ちがあることは共通しています。そのやり方が、独裁的かおどおどしているかの違いです。
あなたの場合は、「お父さん、お母さん、ごめんなさい」と言えば終わりますよ。両親はヒドイことを言われたと思っているんです。そんなことを言われるとは思わなかったから、ショックを受けているんです。向こうが期待する言葉があるんですよ、あなたから。両親が期待している言葉を返してあげてください。その言葉は「感謝」になるんです。
その言葉を自分で発見しなくてはいけない。
ある親子がいました。
一人娘と父親です。その一人娘が結婚することになった。お父さんにとっては大ショックです。結婚して幸せになってほしいんだけど、娘がいなくなることは、ほかの若者と一緒にいることに、なにか納得がいかない。「わたしの娘ではないか」という気持ちになってしまう。
でもその娘さんが、お父さんに自分の彼氏を紹介する前に、「あのねお父さん、何と言っても、自分のお父さんがわたしにとって世界一大事です。お父さんほど大事な人はいません」と言いました。お父さんはすごい調子に乗っちゃって、娘の婿を自分の子供のようにかわいがって面倒見てあげて、万々歳です(笑)。
だから、キーワードですよ。
その父親が、「娘がいなくなる」という感情があった。そこで娘さんが「いくらなんでも、お父さんが世界一大事ですよ」と言ったので、お父さんは「この子はどこにいても大丈夫、自分の娘だ」という気持ちになれたんです。
それぞれの親が、親自身も知らないんだけど、何かしらキーワードを持っています。
そのキーワードで、子供たちが親に感謝しなくてはいけません。それを発見しちゃったら、全部終わりですよ。親子でトラブることはね。
あなたは「この間はヒドイことを言って申し訳ありません」とか、「わがままを言ってごめんなさい」とかそんな感じの言葉でもいいと思います。
子供は独立した生命です。
そこは潰さないで、親のしつけをいただいて大人にならなくてはいけません。だから、自分をつぶさないことも大事でしょうし、だからと言って親の所有物でもない。自分一人で生きていかなくてはいけない。
親の期待通りにいかないことは当然ですが、親が困らないようにしなくてはいけないんですね。
親っていうのはたまに頑固かもしれませんが、簡単に折れますよ。簡単に折れるんだけど、子供がしっかりと生きているんだという安心感が親には必要です。だから子供には親を安心させるという仕事があるんですね。「どうすれば安心してくれるんですかね、うちの親は」と自分で考えなければいけない。自分自身しか知りませんから、親のことは。
真っ向から反対するというのではなくて、もうちょっと滑らかに話し合うということにしてください。
やり方は、いつでも対話の場合は結論を押し付けるとマズい。
対話して、対話して、相手が自ら結論に達したように持って行かなくてはいけません。だったらこうするしかないね、と相手が達してくれたら、自分の考えを押し付けることにはなりません。
(終わり)
(東京 法話と実践会 2017.01.09 説法めもより)
この本には「親について」も書かれているそうです。
こちらのブログに詳しいです。↓