寿命はもともと決まっているのでしょうか?
長生きの遺伝子はあるのでしょうか?
という問いに答えた本です。
「寿命はなぜ決まっているのか 長生き遺伝子のヒミツ」
小林武彦 著
老化とは何なのか、DNAとは何なのか、長生き遺伝子というものはあるのか、老化ががんを防ぐとは?……
などの疑問に、ゲノム再生学教授の著者がわかりやすく答えています。
岩波ジュニア新書なので、振り仮名が多くて言葉遣いが易しいです。文章が難解でパスということにはならないのでは。
この遺伝子の話にしても、自我というのは出番がないんだな~と思いました。
著者が「おわりに」でこのように書いています。
「寿命」があるということは自身の人生で捉えると何か寂しい感じがするかもしれませんが、実は生命の連続性を維持するということでは、非常に積極的で生物が若返るために必須なことなのです。
連続性という見方がそもそも、自我からみると、自分が個体として単発的に思えるからこそ、成り立つ考え方ですね。
たとえば、連続性という見方で人間を見ているものがなにかあったとしたら、「死んでないよ。ずっと生きているじゃない。世代交代があるだけで」と言うことでしょう。
わたしたちの一個一個の細胞も、約3か月で「寿命」を迎えると言われていますが、わたしたちは自分が「死んだ」とは思わないですものね。細胞が入れ替わっているだけだ、と。
おもしろいですね。