ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

ミャンマーのロヒンギャ問題について

質問

ミャンマーでのことなんですけど、今、ロヒンギャの問題があります。ミャンマー仏教の教えを聞く機会が多くうらやましいと思いますが、そういう国で、ああいう問題がなぜ起きるのかと不思議に思います。

それについて、何かご助言をいただけないでしょうか」

 

回答(スマナサーラ長老)

 

わたしもあまりこの問題に詳しくないので、どう答えればいいのかわからないんだけど。

 

とにかく、仏教を破壊しようとするプログラムが終わっていないということです。

まずキリスト教が来て、仏教の破壊活動を始めた。つぎにイスラム教が来て、破壊活動をしようと。*1 そうすると、すべての人間が覚っていないんだから、ケンカしますよ。

 

なんで人間に誰かが教えないんですか、みな仲良くしなさいよと。

自分だけ正しいんだという、正しくないものはやっつけなくちゃいけないんだという、そういう考え方がどうして世の中から消えないのかと、よくわからない。

ミャンマー仏教徒がみんなロヒンギャをやっつけているわけじゃないしね。

 

そこで、仏教の人を殺したりとか、タイでも、仏教のお坊さんが托鉢に出ているところを、イスラム教徒に殺されてしまった。すると仏教徒の人々も黙っていないでしょう。ケンカは一人だけでは起きません。

 

仏教徒の人々にしても、理解が足らないのは、自分たちが黙って落ち着いていると殺されて全滅してしまいますよという不安があるんですね。

だから殴ったら殴りますよという態度になっていますが、それは仏教の教えではありません。そういうことで、そこまで人間が成長していないということもありますね。

 

平和でいればいいと思いますよ。

それぞれの人の自由を認めてあげてね。

 

ミャンマー人が悪いんじゃないんですよ。これはどこでも同じことですからね。

ミャンマースリランカ仏教の国だから、仏教を破壊するために狙われています。世界中でイスラム教に反対しているのに、ミャンマー国内のイスラム教は応援してあげるというね。おかしいんですけどね。

 

こういう問題をスリランカでも作ろうとしている人々がいますが、スリランカ知識人のほうが力が強いので抑えています。

 

ロヒンギャという民族の問題ではなくて、国際的な動きで、国をハチャメチャな戦場状態にしようという、武器売買の連中や麻薬売買の連中がやっていることです。そういう商売です。この問題の裏にあるのは。

ミャンマーを壊したら、イラクを壊しちゃったときと同じで儲かると思っているんですね。

 

こんなことをしゃべりたくはないんですよ、わたしは。

わたしもやっぱり、仏教の人が誰かに迷惑をかけるのはものすごく嫌なことです。決して認められません。

 

ミャンマーですごく凶暴なお坊さんがいて、イスラム教に大反対をしていますが、このお坊さんがスリランカに来たとき、スリランカでは全体がこのお坊さんに反対しました。このお坊さんを呼んだグループも、ものすごい批判を受けました。

 

[ロヒンギャ問題でのミャンマー仏教徒の行動は]

仏教徒にとっても、すごく嫌なことです。

人に迷惑をかけたくない仏教徒にとっては、なんでそういうことをするのかと。どうして、わざわざと武器を持たなくてはいけない状況を作っているのか。

 

ミャンマーのビザは、今、日本にあるミャンマー大使館では発行していません。

スリランカ大使館でも、大使館では直接申請は受け付けていません。(筆者注:理由についての詳細は文字化を略します)

 

スリランカではイスラム教の問題はイスラム人に任せています。スリランカイスラム人は、そういうケンカも何もしません。仲良くしています。国内のイスラム人がテロ行為をしないので、ヨーロッパにいるタミル人を動かしてテロ活動をもう一度起こさせようと頑張っている人々がいます。そういう人々はタミル人でもないんです。アメリカ、イギリス、フランスとか、そうした大国を相手にあんな小さな国が何もできないでしょう。また国内が戦争状態になってしまいます。

 

どうしてそういう人々は、平和でいるのが嫌ですかね?

今自分の国は、タミル人やイスラム人や、みんな仲良くゴチャゴチャと楽しくやっているんです。タミル人がデモをするのをほかの人々は受け入れている。

民主主義で自由なそういう状況が、嫌だと思っている他国の人々がいるみたいですね。自分たちの問題を考えたらどうですかね。

 

ミャンマーでは大多数がミャンマー民族です。インド系も、中国系もいます。民族的に違う人々もみな仲良くしています。民族の違いは消せません。歴史的なものは一日で築くことはできません。

 

ミャンマーに強いリーダーシップをもつリーダーが欲しいところです。

スーチーさんは頑張ったんだけど、残念ながらスーチーさんの力が足らないんです。もっとすごいリーダーがいて、「仲良くしなさいよ」と言わなきゃいけない状態になっています。あるいは国民全体的に差別反対という運動をしなくてはいけません。スリランカの場合は、全体的に一般人や知識人が平等を語っています。だから汚い政治家が何かやっちゃうと、グチャグチャに言われる。ネット時代だから、誰にでも発言する力があります。

 

ミャンマーだけでなく、世界中どこでも兄弟として生きていけばいいんじゃないんですかね。なんでケンカするのかと。

イスラム人であろうが、ミャンマー人であろうが、人を殺したり燃やしたり、やってはいけないことでしょう。火薬があるところに水をかけておく必要があるのに、なぜたばこの吸い殻を投げ捨てるんですかね。

 

それしか、感想は言えません。

 

知識と理性は必要ですよ。

わたしは派手に仏教をしゃべっているし、イスラム教を批判しているし、神様を派手にバカにしていますが、それはあくまで人間の知識の、理解能力の世界であって、人間に対しては何も恨みはありません。だからキリスト教の人々とものすごく仲良くしています。イスラムの人々とも、ものすごく仲良しです。説法をするときはハチャメチャ言います。でも、人に対する恨みはまったくない。神様はあほだと言いますが、わたしがあほというのは冗談で使う単語です。

 

ブッダが語ったことを正しく理解すれば、世の中は平和になりますよ。

昔は、かなりブッダの世界が広がりました。仏教は中国まで進むことができました。キリスト教と違って、他宗教をつぶしません。仲良くするのだから。

 

 

仏教が言っているのは、良いことをすればよい結果を得る。悪いことをすれば悪い結果を得るということです。そこに宗教は関係ないんです。仏教徒ミャンマー人が人を殺したら、それはあくまでも罪であって、仏教徒としてもやってはいけないことです。それで話は終わり。仏教を守るためにやったんだといっても、そんなのは関係ない。

 

現代は、ネットで世界的に発信できるのだから、もっといい世界を作れるはずなんですけどね。人間はどうしようもないんですね。なおらない。

(終わり)

 

スマナサーラ長老 法話と実践会(ゴータミー精舎)2017.09.10

 

Twitter法話

http://twilog.org/jtba_talk/date-170910/asc

 

*1:この箇所の記述につきましては、コメント欄をご参考ください。