質問
「自分は中学生くらいのころから、シンナーを吸ったり酒を飲んだりして、高校生のころからは、毎日きちがいのように酒を飲み続け、ボクシングもしました。そのときは毎日のようにパンチの交換をして、脳にすごい衝撃を与えてきました。昔から精神不安定で自殺未遂をしたりいろいろな問題を起してきました。
アルコール依存症になって、自助グループにつながることができて、今は、酒を飲まずに生活できているのですが、自分で感じるのが、ものすごく脳みそが壊れていて、集中力や理解力が低いのです。仕事はしていますが、人間としての脳のレベルが低くて、脳みそを自分で壊してしまったと思っています。
そうした自分のような人間でも、仏教を実践していけば、智慧を開発したり解脱に近づいていくのでしょうか?
それとも慈悲の冥想をして、仕事だけに打ち込んで行った方がいいのでしょうか?」
回答(スマナサーラ長老)
では、質問に直接答えないで別なことを言います。
こころと体というのは植物のようなものだと思ってください。
植物も時々ダメージを受けますよ。でも、すぐ成長しますね。ときどき木の枝を切られたりしますよ。すごいダメージなんですよ。しかし、そのあとはすぐに新しい枝を作って頑張りますね。
だからこころも同じですよ。
悪いことをするとダメージを受けますよ。しかし、ちょっと放っておいてあげれば治ります。
あなたの場合は、「わたしはダメな人間だ、ダメな人間だ。脳が破壊されているんだ」と言い聞かせているんですね。
あなたという植物に水を上げているんじゃなくて、塩をまいているんですよ。それはやめてください。
頑張ればいい方向へ行く、頑張らなければ悪い方向へ行くんだと。
悪い方向へは思う存分頑張ったんだからね、そこはもうやり終わったと、残りはいい方向へ頑張ってみますと、そういうふうに頑張ってみてください。
あなたの努力次第で覚りに達することもできますよ。
でも、あなたという植物に水をあげてください。塩をこれからはあげないでください。つまり、ネガティブフィードバックはやめてください。
身体を治す場合は、一年や二年とか、適した時間はかかりますが、こころはそうじゃないんです。すごく早く治ります。
そういうことで、頑張ってみてください。
(終わり)
スマナサーラ長老 法話と実践会(ゴータミー精舎)2017.09.10
を聞いて書きました。
Twitter法話
http://twilog.org/jtba_talk/date-170910/asc
参考ウェブサイト