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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

お釈迦様はマーラに対して説法したことがあるのでしょうか?

 【初期仏教Q&A】ブッダの知恵で答えます(スマナサーラ長老)2018年12月21日

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質問「お釈迦様はマーラに対して説法したことがあるのでしょうか?」

 

回答(スマナサーラ長老)

お釈迦様がマーラに説法したことは一度も記録されていないんですね。

一回だけ、モッガラーナ尊者がマーラを叱ったことがあるという記しがありますね、経典に。それだけなんですね。

 

我々が誤解するのは、他宗教にある悪魔の概念とダブっちゃって、キリスト教のサタンはルシファーですね、ルシファーが悪役をやっているんですね。ルシファーが地獄に行って、最後に永遠の地獄に陥れるという感じですね。仏教はそうではないんですね。輪廻転生するんだから永久的な地獄はないんです。

 

マーラのケースは、マーラは悪人じゃないんですね、結局は。

普通の高次元の神なんですね。彼らが気に入らないのは、解脱に達することなんですね。仏教はマーラが迷惑で頭痛の種なんですね。お釈迦様の弟子たちが冥想して涅槃に入ろうとしているんだからね。解脱に達することをしない限りは、マーラは邪魔しない。

 

それから、仏教の人々は、普通に戒律を守ったり宗教的な活動をする場合は、マーラが気に入って、協力的なんですね。しかし、ヴィパッサナー冥想をして解脱に達しようと思っちゃうと、マーラがちょっと居心地が悪くなるみたいですね。

 

お釈迦様が覚る以前のマーラとの出会いがありました。

スッタニパータにありますね。

お釈迦様が修行して死にかけた状態で、その時はマーラが来て「あんた苦労しないでください。在家になって贅沢な暮らしをして、いっぱい徳を積んでください。このままだとあんたは死んじゃうよ」と優しい言葉をかけてくれたと。それでお釈迦様が否定して、「あなたは出て行ってください。わたしは輪廻を脱出しますよ」というふうに断ったような話なんです。

 

マーラさんは仏教だけに出てくる特別なキャラで、実際にいたかどうかわたしはわかりませんからね。

 

それでこの特別なキャラの仕事は、解脱に達するために修行する人々、その中でも本当に成功するような気配がある人々にちょっと邪魔をする程度の話なんですね。

マーラさんも悪いことをしたら次の生まれは大変ひどいんですよ。しかし、マーラという次元で生まれて、修行者にちょっと迷惑をかけたからといっても大した罪にはなりませんね。自分の職業だからね。マーラさんが自分の死後にどこに行くかというのは、自分の功徳次第ですよ。

(終わり)