World Buddhist #35
スリランカ
デリー政府の休校要請
これを書いている三月五日、新型コロナウィルスの流行防止を理由に、ついにデリー政府も小学校までを対象に休校を要請しました。休校処置は当面三月いっぱいまでになるそうです。
ニューデリー日本人学校は明日が卒業式という夜に、休校が決まりました。卒業式の後は一週間後に修了式、そして春休みというタイミングでした。もともと親の海外転勤に伴って、生徒の転入や転出が多いのが日本人学校の特徴ですが、特に年度末の三月はたくさんの子供達が日本に本帰国したり別の国へ引っ越したりする季節です。そのお別れもままならないまま、学校がシャットダウンしてしまいました。
新型コロナウィルスの影響はスリランカにも
先月の中旬にスリランカへ旅行に行った時も、新型コロナウィルスの影響が多々ありました。まず、観光地が空いていました。
ホテルの食堂は、半分くらいしか席が埋まらず、食事会場とは別に「Chinese Restaurant」と看板がかけられた場所は、全くお客さんが入っていませんでした。本来なら中国人観光客が大勢来ていて、ホテルの食堂以外にも中国料理店が必要なくらいだったのでしょう。
インドはその時まだ、新型ウィルスの感染者は南部のケララ州に三人と言われていた頃でした。インドには政治的な事情からか、もともと中国人が多くないので、スリランカに行って初めてわたしは、新型ウィルスが影響を及ぼしている光景を目の当たりにしました。
Thalgasmote Kassapa Primary School
日本テーラワーダ仏教協会の呼びかけで校舎建設募金が行われ、完成した小学校に行って来ました。
場所はスリランカのコロンボで、Thalgasmote Kassapa Primary Schoolという正式名称になったそうです。
スマナサーラ長老のコロンボにあるお寺・キリタラマヤ寺院のアチャラダンマ長老が、その小学校へ案内してくださいました。
小学校では女性校長先生が各教室を見せてくださり、生徒たちと挨拶を交わしたりノートを見せてもらったりしました。
仏教の授業では、ノートにかわいらしいブッダ像が描かれていて、思わず写真を撮らせてもらいました。建設費用の募金呼びかけリーフレットで見た、以前の老朽化した校舎とはまるで別物の、立派な校舎に生まれ変わっていました。
講堂のような場所ではIT教育についてのシンポジウムが開かれ、多くの教育関係者が集まっていました。
子供達は八時十分に登校し、学校から軽い食事が提供されたあと授業を受け、十時頃再びティータイムがあり、十三時三十分頃に授業を終えてから帰宅して昼食を取っているようです。そのあたりは、インドの伝統的な学校カリキュラムと似ています。
子供達は清潔感のある白い制服を着てネクタイを締め、明るい表情でした。先生方もにこやかで心なしか胸を張っているように見えました。
スリランカ仏跡巡り
世界遺産のダンブラ石窟、世界遺産シギリヤ、アルヴィハーラ石窟寺院、ナーランダなど主要な仏跡を巡りました。
インドから仏教が伝来したあと、スリランカでどうなって行ったかを肌で感じました。最後に首都キャンディの仏歯寺へ行きました。
一日に三回、仏歯をお披露目するプージャが行われていて、朝五時半のプージャに参加しました。
仏歯寺のお隣のクィーンズホテルに泊まり、横断歩道を渡るとすぐそこは仏歯寺の入り口でした。
同じホテルからプージャに行く人々は、部屋からすでに裸足で向かっていました。
用意した豪華なお供え物を持ち、双子のような女の子がお揃いの白いドレスを着て、両親も白い正装で、裸足で横断歩道を歩いて行く姿は、まだ薄暗い朝の空気の中で輝いているように見えました。
わたしはお供えにキャノンボールという花を選びました。お釈迦様を囲む大勢の阿羅漢と天にいる幾多の神々に見える花で、お供えの花として人気があるそうです。
それから仏歯の前に到着したのは一時間四十分後でした。お堂の中は仏歯を拝もうと並ぶ人々でごった返していました。
それでも朝一番のプージャが一番空いているそうです。
毎日三回のプージャがあるのに、毎回大変な混雑なのはスリランカの人々が持っているブッダへの熱量ゆえでしょう。
デリーの国立博物館にも本物と名高い仏舎利がありますが、一日三回限定で展示を行ったとしてもスリランカのように大勢の人が詰めかけることはないでしょう。
そのスリランカからの熱量に支えられて、今もわたしたちが仏法を受け取ることができるのだと身をもって感じられました。
(了)
World Buddhist #35 スリランカ は、2020年4月号のパティパダーに掲載されました。
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