望月衣塑子さん の本はどんなものなんだろうと思って、この二冊を読んでみました。
余談ですが、二冊目の表紙は普通なら手に取らないと思います。
軍需産業の依存度が高いのは、知名度の高い大企業だそうなので、そうした企業の関連商品を買う女性層が手に取りやすいデザインでもいいのではないかなと。
企業イメージを損ないたくないという理由も、武器輸出の歯止めになっているそうです。
表紙についてはそんなふうに思ったものの、「武器輸出大国ニッポンでいいのか」は、四名の著者が視点を変えて問題を解き明かしていて、最初の部分には対談もあり、武器輸出についての本を初めて読むわたしには、とっつきやすかったです。
そういうことで、読む順番は「武器輸出大国ニッポンでいいのか」→「武器輸出と日本企業」がわたしのような初心者におすすめ。
特に印象に残った対談(杉原浩司氏と古賀茂明氏)の部分はこんな個所でした。
古賀茂明 (ラファール戦闘機がバカ売れ、というフランス国内の)報道で強調されていたのが、労働者がすごく喜んでいるという点でした。
インタビューを受けると、これから5年ぐらいは安泰らしい、給料も上がるかもしれないし、雇用も増えるらしいと言って、組合の人とか労働者の人たちが、手放しで喜んでいるという絵が流れていました。この兵器で人を傷つけることになるなんてことは、かけらも考えていないという感じの報道です。
軍産複合体が恐ろしいとよく言いますが、僕(古賀茂明氏)がそのとき思ったのは、もちろん軍産複合体自体、非常に恐ろしいことですが、一番恐ろしいのは、そういう一般の、われわれと同じ立場にいる普通の労働者が、武器が売れて喜ぶことです。
逆に言うと、武器が売れないと悲しむとか、困るという社会が、少なくともフランスでは実現している。
「武器輸出大国ニッポンでいいのか」p22
これは、わたしたちにとっても想像に難くない情景です。