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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

パティパダー2026年9月号 智慧の扉 子育てに正解はない  A.スマナサーラ

子育てには正解がありません。そう言われたら、親はどうすればいいのかと途方に暮れるでしょうが、実際のところ、子育てに正解などないのです。

 

それでも、子育てについて普遍的に言えるアドバイスがあるとすれば、「あまり長いスパンで考えないこと」です。「親が良いと思ったから」という理由で押し付けることは控えて、子ども自身が善悪を判断する習慣を身につけられるように導いたほうがよいでしょう。もし子どもが何か悪いことをしたときは、自分でどう対処すべきか判断できるよう、親はちょこっとナビゲートして、適切な助言をしてあげればよいのです。

 

たとえば子どもが「勉強したくない」と言ったとき、親は「まあ、別にいいんじゃない?」と答えてもかまいません。その代わりに、「勉強しないでいると気分がいい?」と尋ねてみるのです。子どもは「いい気分だよ!」と答えるかもしれません。そこで親が「それなら今から30分間勉強しなかったら、ずっと気分がいいはずだよね?」と問えば、子どもは「うん、そうだね」と言うでしょう。続けて「じゃあ、一時間勉強しなかったら?」さらに「丸一日勉強しなかったらどうかな?」と問いかけてみます。もし子どもが「一日中ずっと楽しいよ」と答えたら、「じゃあ、一生勉強しなかったらどうなると思う?」と想像させてみるのです。子どもは嫌な顔をするかもしれませんが、たいていは心の中で「それはさすがにマズいな」と気づくものです。

 

親が一方的に「勉強しなさい」と指示すると、子どもの自主性や自由が消えてしまいます。大切なのは、子ども自身が正しい判断を下せるよう、ちょっとしたヒントやサポートを与えることです。なぜなら幼いうちは経験が乏しくて、判断基準となる情報や知識、データをまだ十分に持っていないからです。そこで親が自分の持っているデータを示して、「世の中はこういう仕組みになっているよ」とさりげなく教えてあげるのです。

 

たとえば、子どもが思春期を迎えて好きな人ができたとします。仲良くするのは素晴らしいことですが、同時に「人間の身体にはこういう仕組みがあるんだよ」と正しく情報を伝えることが、親にできるサポートです。「性教育」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、客観的な身体の仕組みとして教えれば、子どもは素直に耳を傾けます。さらに親自身の失敗談や成功談という生きたデータを共有できれば、子どもは興味を持って聞いてくれるはずです。「お父さんもこんなことで失敗したんだよ」と話せば、思春期の子どもは表面では反発するかもしれませんが、その話自体はしっかり耳に入っているはずです。

 

そういうコミュニケーションを通じて、子どもたちは自分の頭を使って思考する力を育てていきます。親が示してくれるデータを参照しながら、子どもは自力で自分の人生を切り拓いていくのです。

(了)