小笠原先生、ひとりで家で死ねますか?
「おひとりさま」上野千鶴子氏が自身の「在宅ひとり死」を念頭において「徹底的にお尋ねし」たことを、小笠原医師が豊富な臨床ケースから答えるという、読み応えのある一冊。
がんで死ぬのが一番か、ピンピンコロリと逝けるのか、認知症になっても家で過ごせるのか、看取りは家族の役割なのか、家族のいない「わたし」はどうしたらいいのか、お金はいくらあればいいのか―――
こうした様々な疑問に、小笠原医師が受け持った患者さんの例から、具体的に回答しています。
上野氏は 今年2月11日の中日新聞 で、「平等に貧しくなろう」と言って物議を醸しましたが、本書で語られる在宅ホスピスに、介護保険制度は経済的な要になっています。
貧しくなった社会でも、こうした福祉制度が現状のように維持できると考えての発言だったのでしょうか。
小笠原医師は、「僕の実家は岐阜県羽島市の寺」(つなごう医療 中日メディカルサイト | 〈あの人に迫る〉 在宅医 小笠原文雄さん)だそうで、父住職が病気がちだったこともあり「9歳で僧侶の資格を取ってからは、袈裟を着て檀家周りをしていた」(本書208p)ということです。
そのせいか、往診について語る内容に慈愛を感じられます。
「死に方入門」初期仏教 月例講演会 スマナサーラ長老 でお話がありましたが、「死に方=生き方」なのだなと、この本を読んで改めて思いました。