質問
「人は生まれながらに仏性を持っているという考え方がありますが、正しいですか?」
回答
(スマナサーラ長老談)
それは優しい考え方だと言えますが、正しくはありません。
正しくはないんだけど、「誰でもみんな仏性があって平等なんだ」と考えると、自我を張らない優しい考え方ではあります。
「誰にでも覚れる可能性があるから努力しなくてはいけません」とは言えます。
「誰にでも仏性がある」というのはインドのヒンドゥー教の考え方です。
大乗仏教はインド仏教の影響を受けていますから、歴史的な理由があって、生存競争の過程で仕方がないことです。
すべては魂があるとヒンドゥー教で言っていますから、魂は神なんですね。そうなってくるとみんな同じなんです。
それは仏教では邪見だと否定します。
だからといって、「誰でも仏性がある」というのは残酷な思考ではなくて優しい思考なんです。
仏教にしても、否定するにも結構遠慮しなくてはいけない。なぜなら、優しい考え方をつぶす必要はありませんから。それは正しい考えに直さなければいけません。だから面倒くさいんですよ(笑)。
たとえば、「あなたは優しい人間だけど……」とそこは認めてあげて、それから直す、ということだから、結構手間がかかります。
(東京 法話と実践会 2017.01.09 説法めもより)