タイの森林派
比丘は、パーリ経典をたくさん英訳しているそうだ。下の記事では、
比丘が、スッタニパータの4つのお経を紹介しながら、現代のわたしたちが直面している社会問題の解決策を探っている。”ブッダは人種についてわれわれに何を語ったか ――タイ森林派 比丘が新たに訳したスッタニパータから4つの経を解説する ”
ここで取り上げられている4つの経とは、
- Salla Sutta: The Arrow (箭経 せんきょう)参考:Salla-sutta 箭経 ~日常読誦経典より~(Dhammacast) - Theravada Online ゴータミー精舎日記
- Attadanda Sutta: The Rod Embraced (武器を取ること経)
- Vasettha Sutta (ヴァーセッタ経)参考:http://www.j-theravada.net/qa/qahp71.html
- Vijaya Sutta: Victory(勝利経)参考:http://www.j-theravada.net/sutta/index.html#Vijaya
このなかで「武器を取ること経」は、『スッタニパータ』と大乗への道: ブッダの教えはどのように大乗仏教に引き継がれたのか? にも詳しく書かれているのでご参考までに。(kindle unlimitedに入っています)
最初の偈を引用すると、
「武器を取ったことによって恐怖が生じました。争論している人々を見なさい。わたしが驚き恐れたとおりに、その恐怖を語りましょう」(石飛道子訳)
そして次の偈からは、 水たまりでなんとか泳いでいる魚たちの様子が続く。
比丘は、産卵のために川を上っていくサケを例に解説している。「浅い川ではサケが卵を産むために戦い、最終的には彼らすべてが死ぬのだ」と。
ブッダが人種や階級について直接的に言及しているのはヴァーセッタ経だが、 比丘は勝利経も挙げて、「(この経を読んだ後で、)肌の色の違いによって、自分がほかと違った特別なものだと思えるだろうか」と問うている。
比丘はここまで軽やかに解説しながらも、最後の段落では「お経を読んだだけでわかったつもりにならないように」という意味の忠告をしている。
経は、理想的にはサンガという文脈の中で、実践と共に理解を深めていくもので、自分自身の苦しみを終わらせるまで、本当の意味で「わかった」ということにはならないのだ、と。
そして最後に、必要なのは単なる知識だけではなく、「正直さ、創意工夫、そして ”何がどうなっているのか” を見極めるための高い判断力である」と結ばれている。
(石飛先生は実際のお話もおもしろい(興味深い)です。)