質問
「長老の本を読んで、長い間仏教を学んできました。自分の悩みが軽くなっていく気がします。
ただ、仏教を学べば学ぶほど大きくなっていく悩みがありまして、それは、仏教の考え方と全然違う考え方をする人たちが気になります。
たとえば、親を大切にしなかったり、むさぼりが強い人たちに、自分が嫌な気持ちを持つようになってしまって、このままではよくないなと思っています。どうしたらいいでしょうか?」
回答(スマナサーラ長老)
わたしは良いことだと、正しいことだと思いますよ。新たな悩みが見えているということはね。それはまた直しておけばいいでしょう。どこかでストップしたいという後進的な気持ちはよくないんです。先進的な道を歩まなくちゃいけないんですね。
「親の面倒を見ていない」というのは、今までやっていなかったことに気づいただけでしょう。それではやればいいでしょう。それをやっているともう一段階見えてくるんですね。「あれもやっていないや」と。それもやるんです。それで人間が先進的に進んでいくんです。解脱に達するまでの道ですからね。
「最近、落ち込んでいくことがなくなった」、そんな程度じゃないんです、仏教は。いつでもみんな、一応仏教に興味を持ちますけど、それから自我を張って「俺」を出しちゃって、仏教に教えようとしているんですよ。そうなったら終わっちゃいます。仏教に当たることは不可能です。
仏教は完全なる道ですからね。やっぱり悩みが生まれるし、仕方がないと思うこともあるし。でも、自分の悩みは一つひとつ直していけばいいんですね。仏教的に生きてみると、だいたい自分の弱みが、直せる順番で出てくる。
因果法則の世界だからね。山を登ることと同じ。山を登る場合は、道は一本しかない。新たな悩みが出てくるということは、いい道なんです。ぜんぜん間違っていないんです。
関西定例冥想会 2015.12.20
https://www.youtube.com/watch?v=wweFviyFqdk13:30~17:30より聞いて書きました。
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