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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

パーリ経典解説《スッタニパータ5彼岸道品3学生プンナカの問い》

1/20(金)にスマナサーラ長老のパーリ経典解説がありました。

解説した経典はスッタニパータの「学生プンナカの問い」です。

「学生」というのは、仙人グループの中のお弟子さん、という意味だそうです。

このお経は、先生である仙人とそのお弟子さんたちグループでお釈迦様に質問していた時の記録だということです。

 

この解説の動画はこちらです。 

Twitter実況中継は http://twilog.org/jtba_talk/date-170120/asc

 

今回おもしろいなと思ったのは、brūmi(ブルーミ)という言葉。

このパーリ語は、動詞「説く」の一人称で、ここでは「わたし(お釈迦様)が言いますよ」という『お釈迦様の保証付き』の言葉を意味するのだそうです。

 

普段は三人称で語るお釈迦様が、「brūmi(ブルーミ)」と言うときは、要注意で、お釈迦様が責任を持って断言しているということになるとのこと。

結果、かなり大胆なことを発表しているところなのだそうです。

 

ではお経で、どこにこのbrūmi(ブルーミ)が使われていたのかというと……

まず1052.(PTS.1046)の偈の、こちら。

 

1052.(PTS.1046)

‘‘Āsīsanti thomayanti, abhijappanti juhanti; (Puṇṇakāti bhagavā)

Kāmābhijappanti paṭicca lābhaṃ, te yājayogā bhavarāgarattā;

Nātariṃsu jātijaranti brūmi’’.

 

(師は答えた。

「プンナカよ。かれらは希望し、称賛し、熱望して、献供する。利得を得ることに縁って欲望を達成しようと望んでいるのである。供犠に専念している者どもは、この世の生存を貪って止まない。かれらは生や老衰を乗り越えてはいない、とわたしは説く」

中村元訳「ブッダのことば スッタニパータ」より)

 

スマナサーラ長老の解説では、つまり、「わたしが全責任を負って言いますが、人類がやっている祈祷などの宗教はすべて役に立ちません」と釈尊がここで宣言されたということです。

 

仏教は宗教ではない」というのは、慈悲の冥想やヴィパッサナー実践から次第に納得していくことかと思いますが、お釈迦様の言葉としてスッタニパータに存在したとは知らなかったので、驚きました。

 

 

 

ところで今回も、ものすごく難しい経典でしたが、最後の方でスマナサーラ長老がこのようにおっしゃっていました。

今日の経典は、扱っている項目が、わたしたちに実践できるところではありません。

でも結局は、仏教はどんな言葉で語っても同じ真理を語っているのだから、「今日の経典はわかりませんでした」というのも、そんなことは別に構いません。

別な経典がわかればいいんだからね。

 

それでも、

いつか、今日の経典を参考に精進していれば、ここで語られている真理がわかってきます。

 

ということをおっしゃっていました。

 

次回のこのブログでは、「学生プンナカの問い」でお釈迦様が語られた ″もうひとつのbrūmi(ブルーミ)″ をご紹介します。