宇宙物理学者 大栗博司さんのインタビュー後編が、番組ホームページに公開されていました。
夜空が暗いのはなぜか?ビッグバンに関係が。|TBSラジオAM954+FM90.5~聞けば、見えてくる~
先日の記事 に、このインタビューを聞いた感想を書きました。
仏教と科学の関連を語った後半部分を、再度じっくり聞いてみました。
大栗教授は、
「現代のわたしたちが科学的な史観によって感じている ”人生に生きる意味はない” と言われている人生で、どう生きればいいかということを、すでにブッダは2500年前に考えていた、というわけなんですね」
というふうに語っていました。
そのほかの発言も、とても面白かったです。
たとえば、
「人間の特徴の一つとして、物事を認識できる、物事を合理的に理解できる、ということがある。さらに物事をもっと知りたい、という気持ちがある。そういう性質が人間にあるのなら、さらに観察を深めていくということも大切だ」
というふうなことも言っていたり、また、
「物事をよく見て理解するということは重要で、仏教でも物事をよく見るということは、苦から逃れる重要なステップとされているところも(科学と)近いなと思った」
とも言っていたり。
それと、
自然界の世界には階層構造があって、分子や原子のことを理解するのにクオークのことも理解する必要はないんですね。それは現象的な説明というんですけど、僕らが日常生活で経験することは素粒子とか量子力学の世界までさかのぼらなくても解決できるかもしれない。2500年前のブッダの智慧でも解決できることがあるかもしれない、というふうに思いました。
と聞いて、「おや?」と思いました。
ということは、大栗教授は、日常で経験する「苦」を素粒子や量子力学の世界で解決できるのではと思っていたのでしょうか。そしてこれまで研究してきて、その世界では苦を解決できないと思い始めていて、一方でブッダの智慧にはその解があるかもしれない、と感じたということなのかもしれません。
最後に一言、と促されて語った言葉は、「ポスト真実」やフェイクニュースが台頭してきている世の中への警鐘だと思いました。
物事をよく見て合理的に理解することは誰にとっても重要であります。
日本のような民主主義の国にとっては、市民が合理的に判断できるということが重要だと思いますので、そういう科学的精神というのは、こういう(科学)番組を通じてどんどん広めてほしいと思います。
「物事をよく見て合理的に理解すること」は、言葉を変えてお釈迦様もおっしゃっていることです。
そういう「ブッダ的」精神というのは、こういう(ブログなどの)場を通じてどんどん広まってほしいと思います。