質問
「インドで冥想をしている人をたくさん見てきました。
クンダリニー症候群なども、仏教徒は精神集中する対象(神など)がないから、そういう弊害に陥ってしまうのではないでしょうか?」
回答(スマナサーラ長老談)
妄想だけではなく、なにか証拠があってそういう結論に至ったのですか?
まず、調べてください。
ブッダの冥想で、頭がおかしくなったのは人はいるのか、と実際に調べてみてください。
結論を出す前に、データを調べなくてはいけない。
そこは、あなたとわれわれの違うところです。われわれは、客観的にデータを見て、次へ次へと進んでいきます。
たとえば、最初から「クンダリニーがあるんだぞ」と思って冥想すると、これは妄想になります。
脳細胞はいつでも幻覚を作っています。それは現実とは違います。幻覚では、クンダリニーやら魂やら神やら、どんな妄想も作れます。
インドで、カーリー神を念じて、念じて、「カーリー神が見えました」と語るヒンドゥー教の人がいました。
それではイエスキリストはどうですかと、キリストを念じて、念じて、これも見えましたと。
客観的にみれば、この方は幻覚の達人です。真理に達しているわけではありません。
たとえば臨死体験と言うものがありまして、ヨーロッパ人が臨死体験を起すと、トンネルをくぐっていく。東洋人が臨死体験すると、ちゃんと川を渡るんですね。文化なんです。脳がその幻覚を作るんです。臨死体験にはなにも実態がありません。そういうふうに物事を科学的にみなければいけません。
脳が壊れないように気をつけたほうがいいでしょう。
脳が壊れると、こころを育てるのはちょっと難しくなりますよ。こころにアクセスできる中継ポイントは脳だからね、これを大事にしたほうがいいんです。
ただ単に神秘体験をみるということは、とても危険なんですね。
インドでは、ものすごく太い麻薬の煙草を吸って、吸って、神と一体になりました、とかね。
お釈迦様は、この肉体だけですべてを語れますよと仰っています。
仏教の冥想というのは、対象がないから難しいではないか、とおっしゃいますが、一番簡単です。
存在しない対象を選べば、いくらでもイメージを作ることができてしまいます。
神、観音様、不動様、念じれば現れます。
自分がイメージした姿で。
それは病気、ということです。
そのループができてしまうと、治らなくなってしまいます。
そういう先入観をすべて壊して、進まなければいけません。
それがブッダの冥想です。
(終わり)
東京 法話と実践会 2017.04.23 よりメモしました。
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