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Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論

サーリプッタ尊者の説法|カッサパ如来(2)

お釈迦様より前のブッダは…|カッサパ如来(1)より続きます)

カッサパ如来はそういう時代で生まれて、解脱を教えるのは楽ちんなんです。ただ、「生きることは苦である」ことを教えるのは難しいみたいですね。

しかし、退屈になっちゃって、無意味であると。

「苦」っていうのは苦しい、大変という意味だけじゃなくて、「虚しい」という意味もあるんですね。「だから何?」というね。それも「苦」なんですね。

 

それを教える場合は、「起きて、何かして、それって意味があるの?」とか、「あなた40万年生きているでしょ、それで何かあった?」とか「ただ生きてきただけでしょう」とか。

えらい退屈になっちゃって、「なんか、意味がない」とね、分かって、それでブッダの説法を聞いて直ちに悟りに達するんですね。

 

そこで瞑想したりする必要はないんです。カッサパ如来にしても、「じゃあ説法しましょう」と説法を始めて終了するころには100年経っているとか。

説法を一時間半で終了しなさい、というのではない(笑)

 

だから、みんなそのまま悟りに達するんです

それで、怒りや嫉妬やら憎しみやら、「あいつのを何とか盗ってやるぞ」という性格はゼロでしょ。そういうわけで、戒律はないんです。カッサパブッダの時代には。

 

嘘つくなよ、とかね、誰も嘘ついてないんだから。人のものを盗るなよ、殺生するなよという必要がない。

われわれは殺生しますけど、たとえば4万年くらいでも生きている場合は、食べ物が違うでしょうね、恐らく。それはどこにも書いてないんだからわかりませんが。フライドチキン食わなくちゃとかね、それはないと思います。

 

だから、植物の中でも、肉食植物がいるでしょ。寿命が短いんですね。すぐ枯れちゃいます。しかしほかの植物は肉食じゃないね。

 

寿命が長い時代の人間には、殺生もないし。だからお釈迦様の時代みたいに、たくさん道徳項目を定める必要もないんですね。カッサパブッダに出会う人は誰でも悟ります。

 

お釈迦様の場合は、説法を聞いても悟らなかった人というのは結構いる。

説法聞いてから出家して、まあ何年も何年も苦労して頑張ったと言う人もいる。寿命が短くて間に合わなかった人々もいる。お釈迦様の時代ですべての人が悟ったかというとそれはないんですね。これは、われわれに与えられている時間が短いからなんですね。

 

この智慧の第一人者であるサーリプッタ尊者は、抜群の智慧がありました。

サーリプッタ尊者がちょっとしゃべってみたら、誰だって預流果になってしまうんです。ものすごい能力なんです。だからお釈迦様がほかの比丘たちに、「このサーリプッタ尊者が人類の母親だと思ってください。その人に会ったら、次から次へと聖者が生まれます。モクレン尊者は父親だと思ってください。育てますよ、それから阿羅漢になるまで。いろいろ必要な瞑想の方法とか、必要なデータを持ってきて、育ててあげます。産むのは、サーリプッタ尊者です」。

 

そういうサーリプッタ尊者の友達がいたんですね。

当然、バラモンカーストの人で有名でした。サーリプッタ尊者の話を一応、たまに聞く。バラモン教はやめません。自分の宗教は変えません。

この人にサーリプッタが二回くらいキビシイことを言いましたけど、友達関係だからね。

その人は「そんな暇はないよ」ということですね。

わたしは忙しいんだ、ものすごく、と。すごく金持ちだから、決まっている日に王様に会わなくてはいけないんですね。だから国の経済状態を握っている人びとだから、王様に呼ばれたらいろいろ話し合わなくてはいけない。財産があるから精密に計算して、税金を納めなくちゃいけないんだと。これが時間かかる作業だと。通貨がなかったんだから、現物の財産を計算するのは大変です。で、大げさな親戚がいるから、この行事は結構あるんだと。それから牛など家畜もいっぱい持っているし、自分の家来も面倒見てあげなくちゃいけないし、子供たちもいる。あれは大変だ、面倒見てあげるのは。その上、友達もいる。両親も。両親には特別に朝の挨拶をしたり、親孝行しなくちゃあかんですね。食べ物あげて「遊んでいてください、ハイ、さよなら」はできません。ちゃんと付き合わなくちゃいけないんです。時間がかかりますね。

 

それを全部やっても、わたしはわたしの生身の体があるから、それを面倒見なくちゃあかんやと。だから、ちょっとうるさい、あなた(サーリプッタ尊者)は、と。わたしには暇がないんだと。

 

その時、その人は乳しぼりの管理をやっていたんですね。サーリプッタ尊者はそちらに行って、割り込んでしゃべっていたんです。で、召使に乳しぼりをやらせながら、容器を入れ替えたりしながら尊者としゃべるんです。

 

「サーリプッタさん、搾りたてのミルクがありますから、どうですか?」

「いえ、食事が終わりましたから結構です」

 

サーリプッタ尊者「あなたは親孝行をしなくちゃと言っている。親孝行のために、殺生したり盗んだり、嘘をついたり、邪な行為をしたりしたら、天国へ行くと思う? 地獄へ行くと思う?」

友人「それはねぇ、常識で答えるならば、いくら親孝行のためといっても人を殺したら地獄へ堕ちるでしょう」

サーリプッタ尊者「では、あなた、王様のお世話をしなくちゃいけないんだ、命令だから、と十種類の罪(殺生、盗み、邪な行為、偽り、無駄話、悪口、二枚舌、貪欲、嗔恚、邪見)をやっちゃったらね。……」

 

政治活動をするのに胸を張って嘘を言わなくちゃいけない、邪見を持たなくてはいけない。だから理性のある人は政治家になろうとしないんです。

 

たとえば、日本の政党で考えれば、自民党民主党とかあるでしょう。それぞれの考えがちがうんですね。もともと何の考えもないんだけど、しかし、自分たちの考えがあるかのごとく言っているでしょう。

自民党の人々は民主党の考え方は間違っているんだ、あんたがたのやり方では日本が破壊されるんだと言っていますよ。(われわれは)明らかに違うと知っていますよ。

民主党は、自民党に国を任せたら将来はないと言っている。明らかに嘘を言っているんですよ。どちらの党が政権をとっても日本にはロクなことにならないんですけどね。

 

政治をやるのは昔は王様で、そういうふうに邪見を持たなくちゃあかんですよ。「うちの王様が正しいんだ。けれど、隣の王様はけしからん。あいつは潰した方がいい」と。

 

王様のお世話をして、(のちに亡くなって)閻魔さまに会ったら、言わなくちゃいけない。「わたしは王様のためにやったんだから、罪にしないでくれ」と言っても、ちょっとそれは無理でしょうね。

「家族のために、殺生やったり、中傷をしたりしたんだよ。だからわたしは無罪だ」

と無罪にはならんでしょう。

 

そういうことで、(サーリプッタ尊者は友人に)全部の項目を答えてもらって、そうして本人(友人)は自分が気付かないうちにやられちゃったんですね。

 

「そういうことです」

とサーリプッタ尊者が帰っちゃったんです。それ以上は言わなかったんです。でも厳しいアドバイスなんですよ。理性的でしょ、あの説法は。「暇がない」という言葉への答えなんです。

「善行為をする暇がないんだ」と。「ああ、そう。じゃあ頑張ってよ。偉そうに」と。そういうふうにわたしみたいなだらしない人間は言うかもしれませんけど、あの尊い方々はすごく丁寧に質問対話形式で、直接言わない。でも、言われているんです、完璧に。

 

だから、「放逸に頑張ってください。くだらないことだ」と、サーリプッタ尊者は暗に言って帰ったんですね。その友人は言うことを聞かないんですよ、それでも。そのうち、病に倒れちゃって、死ぬ羽目になったんです。

 

サーリプッタ尊者がお見舞いにすぐ行ったんです。その友人の人は、「最後にサーリプッタ尊者に会いたい」と、自分には後はないと分かって。

サーリプッタ尊者のお見舞い|カッサパ如来(3)に続きます) 

 

ウェーサーカ祭後日・スマナサーラ長老法話 関西定例瞑想会 2015.05.04(http://www.voiceblog.jp/najiorepo/2152493.html よりメモしました)

 

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関連エントリ:

「言葉の重みについて」ブッダの冥想実践会(中編)

サーリプッタ尊者は智慧の第一人者で、小さな子供の出家者は、サーリプッタ尊者に任されました。「ダメだ、これは―!」と叱ることが無いんです。智慧を持って教えたのです。

 それをうらやむ一人のお坊さんがいました。その人は、サーリプッタ尊者はオーラもないし、普通のお坊さんでしょうと、思っていました。

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