ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

生きていきたいという根拠のない気持ちは、根拠のある感覚のせい - 十二因縁(10)

(前回

渇愛は三種類 - 十二因縁(9) から続く)

 

話に戻りましょう。

人間がいる。この人間が生きていきたいという存在欲と恐怖感で生きているんだけど、それをちょっと一時的になかったことにする。それから「こいつは何で生きているのかわからないんだ」とそれだけ取る。一個だけ。それを無明と名付ける。

 

それはなくなったわけじゃなくて、今の状況なんですね。

明が無い、それだけ。

足せばいい話ですからね。

 

この人は無明がある、というんですね。言葉で。そうすると一次元で一項目出来上がる。無明がある。

 

この人はいろんなことをやっていますけど、何かやりたいという衝動がなければやらないでしょう。

無明だからこの衝動が生まれるんですね。

この人はご飯を食べたりしゃべったりする、これはなかったことにして、無明があるときには衝動が生まれる、エネルギーが生まれる。生活作用とはそういうことなんですね。

 

次に、衝動が生まれても動きませんよ。それをちゃんと認識しないと。

おなかが空いたらなんかエネルギーが生まれるんだけどおなかが空いたと認識しないと。

だから、生活作用からは識が生まれるんです。識が生まれたところで、またこころと物質という二つが出てくるんですね。

 

だってこころは変化するでしょう、ご飯食べたりね。ご飯が身体に入っちゃうでしょう。

食べたいと思ったら、その結果、新しいこころと新しい物質が入っているんです。

 

それで、繋げていきますけど、それが一つのバージョンの解説です。

すべては解説できません。それで一元論にして、生命全体の生き方を説明してみようかなと思っちゃうと、ものすごく難しくなってくるんですね。

 

しかし、どうしたっても、前提としてまず生き物が必要なんです。

それは前提だからそこに措いておいて、無明があると衝動が生まれる、衝動があるとこころが生まれて、こころがうまれるといろんな物質とこころがまた新たに生まれて、生まれて、サラーヤタナ(saḷāyatana)=六処(眼耳鼻舌身意)がそれから働かなくちゃいけなくなっちゃう。

 

それがあっただけでは働かない。また別な因果法則がそこから入ってくる。

眼耳鼻舌身意にアクセスしたら、それがあっただけでは働かないんです。眼に耳に、なにか物質が触れなきゃ。触れたことを感じなくちゃダメなんですね。触れたことを感じるためには生きていきたい衝動が生まれなければ感じませんよ。

 

感じたことはまたさらに、感じたことに対して愛着が生まれる。感覚。

 

そこはすごく具体的。

生きていきたいということは、相当あほで意味がないんです。

 

なんで生きていきたいかという根拠のない気持ちが、存在欲があるのかというと、根拠のある感覚のせいなんですね。

 

身体に感覚があって感じるんですよ。そちらに欲が生まれるんです。眼で見て美しいと判断したら、ほしい、という気持ちが生まれてくる。追っかけていようと。自分のものにしようと。それで走っちゃうんですね。もう忘れているんですね、生きていきたいということは(笑)。

 

そういうことで、眼耳鼻舌身意という感覚器官があるだけでは機能しない、そこにデータを取らなくちゃいけない、というところから感じてしまう。

感じるところで、新たに渇愛が生まれるんです。もともとあったんだけどね。

 

今度は渇愛がすっごく強化されるんです。

欲があって当たり前だと思っちゃうんです。

ご飯を食べたらおいしい。それで「欲があって当たり前」。でしょ?

 

足を柱にぶつけた。その感覚が痛い、と判断したら、「イヤ!!」という怒りを作らなくちゃあかんでしょう。

そういうことで、渇愛は六根から栄養を受けて、渇愛がドンドン強化されていくんです。

すべて無常だからそうやって変化していくんです。

(続きます

今もわれわれは転生しつつ - 十二因縁(11)

 

スマナサーラ長老法話・関西月例冥想会 2013.12.15

https://www.youtube.com/watch?v=4vsnfGBmmrg を聞いて書きました。

Six Men

 

参考外部サイト:

仏教的に正しい禅定の作り方

六根から入る情報は入らせておいて、自分の心がそれに囚われないようにすればよいのです。そのためには、絶え間なく起きては消える現象を、ただそのままにしっかり確認して、入った情報によっていろいろな感情を起こさないことがポイントです。(最後から6ページ目くらいより抜粋)