「この世界の片隅に」の原作を読んだのですが、
白木リンさんとはこういう人物だったのですか……!
映画 *1
では白木リンさんはあまり出て来ませんでしたね。
こうなるともう、周作さんのイメージも激変してきます。そして、主人公すずとの電撃結婚のわけも、椿の花の振袖をかぶったすずさんに道を尋ねた周作さんが、すずさんだと気づかなかった理由も、すずさんを訪ねてきた幼馴染にとった周作さんの行動も、そういうことなら納得できます。
ちなみに白木リンさんとは、映画中ではすずさんがスイカとかキャラメルとかの絵を描いてあげようとした人です。
ところで先日、子供たちと市民マラソンに参加したのですが、走り終わったあと配られたトン汁を食べていたら、年配の男性が話しかけきました。
「毎年参加しているけれど、一分ずつタイムが遅くなっている」とのこと。
「おいくつですか?」と尋ねると、
「84歳」
おお! 84歳で市民マラソン5キロを走っていらっしゃる! すごい。
84歳のランナーは子供たちに、
「君たちはいいね、好きなだけ駆けれるから」
と言いました。そして、
「自分の子供のころは、スポーツはできなかった。戦争だったから」
と。
「やってもよかったのは、剣道と柔道だけ」
それから二言三言かわすと、「それじゃあ、ごめんください」と男性は立ち去っていきました。
「この世界の片隅」にいた、マラソンを走りたくても走れなかった、かつての少年のうしろすがたでした。