質問
歩く冥想をしている最中に不安が出て来たので「不安、不安」と実況中継したのですが、不安が消えなかったので、そのまま冥想しましたが、根底に不安が残っている感じでした。やり方としてはこれで正しいでしょうか。
思考や妄想が出た時も、「妄想、妄想」と実況中継していますが、妄想を抑えてていますが制御しきれません。このまま続けていいのでしょうか。
回答(スマナサーラ長老)
続けるしかありませんが、もうちょっと腕を上げて欲しいんですね。まだまだ初歩的なレベルでヴィパッサナーをやっているものですから……。
例えば歩く瞑想でヴィパッサナーをやっている場合、不安が出たとします。この不安ってなんなのかと観察ができたならばね。歩いている時何が不安でしょうかね。右足を上げること? 右足を下ろすこと? 客観的に見ると変でしょう、その時不安を感じることは。
質問者
「仕事のことで不安を抱えていて、そのことが頭から離れないのです」
スマナサーラ長老
あなたは歩く冥想をしていて、ちょっと飛んだんですね、妄想の世界に。妄想の世界に不安があります。妄想の世界が不安の塊です。だからそちらにちょっと飛んじゃったんです。それだけ。
今ここは、何か。今何で不安なのかと、厳しく観察する。右足を上げることの何が不安ですか? 右足を運ぶことの何が不安ですか? そう見ると、自分は余計なことで修行をおろそかにして、サボって、それは馬鹿げているんだと、そう発見すると、しっかりするんです。
それでまた不安が襲って来たら、もう処理する能力はついていると思います。
質問者
「その不安は無視してもいいんでしょうか?」
スマナサーラ長老
無視することではないでしょう、今説明したのは。
質問者
「観察をずっと続ければ、不安がどこから来るのかと観察して…?」
スマナサーラ長老
現実的に観察してください。
現実に、今あなたに不安はあるのか。妄想から出た結果でしょう。妄想でお化けが怖いと思ったら怖いでしょう。
妄想や幻覚から、恐怖や不安が出て来るんです。
それから、存在欲の不安は、冥想実践で解決しなくてはいけないんです。
だから怖くなったら「なんで怖いの?」と自分に聞いてみてください。修行中に。
質問者
「それは歩く冥想をしていたら一旦立ち止まって、その不安がどこから来ているのかと観察して、原因がわかったら歩く冥想を再開する、と?」
スマナサーラ長老
そうです。
冥想中に気持ちが変わったら、カチッと足を止めて「なんだこれは?」と観察する。
冥想の腕を上げてください。上げると結構気づくことができます。
子供が絵を描くような感じで、まだ下手だからうまくいかないんですね。
子供はしっかりと線を描きたいけれど、手がまだ柔らかいのだからごちゃごちゃになっちゃうんですね。そういう感じですね。
もうちょっと腕を上げれば大丈夫です。
(終わり)
初期仏教月例講演会「仏教の怪談」 スマナサーラ長老 2018年9月9日の質疑応答部分よりメモしました。
スマナサーラ長老の仏教法話(@jtba_talk)/2018年09月09日 - Twilog