ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

なんで人は念じるのか?(3)こころにつく癖

なんで人は念じるのか?(2)繰り返しでこころが変わる より続きます) 

一般人にわからないのは、なんでかわってしまったのか? というところなんですね。そこでお釈迦様が謎を解くんです。

 

お釈迦様は「こころとはどのように働くものか?」と調べて、結論に達して、最終的な答えまで出しています。それは、「こころの性格は、繰り返すことでそれが身についてしまう」ということ。癖というのは、何か繰り返したことの結果なんです。これがなかなか消えないんです。

 

どれほど消えないかというと、冥想して完全に覚りに達したとしましょう。阿羅漢になったとしましょう。それでも癖は残るんです。しかし、煩悩はないんです。

 

たとえば冥想する前に、人にどなる。言葉に気をつけない。いつでもどなっちゃう。

それで、菩薩じゃないから怒りも入っているでしょう。気に入らないものはすぐにダメ、という性格でしょう。怒りもあるし性格もあるし。それで完全に阿羅漢になったとする。怒りもないしわがままもないし、人のことを慈しんでいる。しかし、それでも怒鳴るんです。

 

癖が直らないんです。だからお釈迦様は注意しているんです。「覚った人をうかつに判断してはいけません。怒鳴ったからと言って批判してはならない。ちょこっとだらしないことをするからと言って、絶対に聖者を批判するなよ」と。

 

それは、慣れてしまったもの、過去世から、繰り返し繰り返し慣れたものが、なかなか取り除きにくい、というのがこころの法則なんですね。

 

ちゃんとそこまで知っておくと、かなり便利に使えます。自分の癖であっても、これが結構たちが悪いんだよ、と言われても、頑張っちゃえば何とかなります。すべて無常でしょうし、因果法則でしょう。だから長い間唱えたものになってしまったらならば、また時間をかけて別なことを唱えてしまえば?

 

一年間習ったものの癖がなかなか取れないんだったら、まるっきり別なものを二年間習ってみる。すると前に習ったものが消えます。

 

外国語を学ぶときでも、こころが同じ働きで学ぶんです。日本人の多くは外国語が下手でしょう。これも念じることで起きている出来事なんです。何を学ぼうとも、日本語から念じて入れる、という癖があるんです。日本語にならなくては知識ではありません、と。そこは文化的な癖を小さいときからつけちゃいますから、子供たちが頑張って英語を学ぶんだけど、英語を日本語にして頭に入れちゃうんです。そういうふうに癖が取れないんです。

 

英語をしゃべるというと、日本語を英語にしなくちゃいけないんです。これはかなり具体的にすごくトラブルが起こるんですね。

 

美しいガラスの作品を作りたければ、家にあるいらないガラス製品を割って粉々にして溶かして作っても、いい作品はできません。なぜならば、一度作品になったものだから、ガラスに癖が入っているんです。緑色の瓶を粉にして別のガラス細工を作ろうとしても、その緑色が入ってくるんです。

それが美しい緑色ならありがたいですけど、濁った緑色になります。

 

ガラス細工を作る場合は、新しいガラスの材料を溶かして作らなければなりません。そうすると癖が入らないんですね。

 

ある言語で別の言語を学ぼうとすると、そこでプラクティカル的にトラブってしまいます。うまくいくのは、同じ系統の言語の場合ですね。たとえば、英語をしゃべる人にとっては、フランス語を学ぶのはそれほど難しくないんです。ドイツ語もそれほど難しくないんです。しかし、スペイン語になってくると、ちょこっと微妙に苦労しなくちゃいけません。

 

なぜかと言うと、英語・フランス語・ドイツ語はストレートにしゃべります。スペイン語はもっとストレートですけど、言葉をいろんなニュアンスで使ってしまいます。だから、どんな意味かと辞書に書けなくなっているんです。それだけちょっと難しいところが出てきます。

 

こころは何かを繰り返すことで、その型を取ってしまうんですね。

だからそれをうまく使えば、とても便利ないい特色なんです。しかし、悪意で使えば、それまた便利ですね。どんな悪さもできる。

なんで人は念じるのか?(4)こころの法則を悪用したら…

に続きます)

 

関西定例冥想会 2011.05.04

http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1387645.html

f:id:thierrybuddhist:20150609115533j:plain

ありのままに見る(正見) カテゴリーの記事一覧 - 瞑想してみる

すべての「説法めも」を読むには:【目次】説法めも