ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

業をマネージメントする(3)業は無量

業をマネージメントする(2)業だから「個」が成り立つ より続きます)

業に対して、迷信だ・宗教的概念だと言っている人々はね、そんな科学的に証明できないだろうと言うなら、その人々が支持しているものはすべて科学的に証明されているのかと聞きたいんですけど。科学で証明できる範囲と言うのはものすごく狭いんです。

 

なんで業っていうのは、宗教家の信仰的な話だと言う人がいるのかと言うと、あれは自我なんですね。なんか偉そうに感情やら自我が凝り固まっちゃって、自分で自分の人生をプログラムしようとする、でも不可能です。こうなりたいというのがあるんだけど、なれない。こうなってほしくないのに、そうなってしまう。頭が良くなりたいのに、なかなかなれないとかね。

これでわれわれは自我を出して、自我って錯覚ですけど、「こうなりたい、ああなりたい」とかいろいろ言うんだけど、そういうふうには人生を管理できません。人生は宇宙と同じく、その決まっている法則で動いています。宇宙っていうのは一貫した法則でしょう。しかし生命はそうじゃない。「個」ですから。個には個の流れがある。だから、わたしの弟はわたしと同じかと言うとまるっきり違うんです。なんで兄弟で心配しあうのかと言うと、二人とも同じ人を母親と言うからです。だから二人が心配しあったり助け合ったりします。しかし、全く別人です。

 

そういうことで、「個」ですから、宇宙の一貫した法則・計算された法則では「個」は動かないんですね。だって一個一個違うんですから、計算式・方程式が合わないでしょう。一人一人がどんな方程式で動いているかということは、それぞれが発見するしかないんです。それを業っていうことです。まだ前置きなんですけど(笑)。

 

それで業の管理と言うのは何なのかと。こんなのは管理できるのかと。管理しなくちゃあかんですよ。できるのかい、じゃなくて。管理した範囲で幸せになる。人間には自然を管理できないんです。が、いくらか管理できる。その管理した範囲でうまくいっているんですね。雨が降ることは管理できない。しかし川が氾濫して洪水になって人々が死なないようには、なんとか管理できる。台風が来ないように管理することはできません。しかし、台風が来ても家が飛ばないように管理することはできる。その部分で幸せになれる。だから、管理=幸福、というわけになりますよ。

 そういうわけで、業も全面的に管理できるかどうかわかりませんだけど、われわれに管理できる範囲で管理するんです。

 

そこで、物事には、始点というのはあり得ないんです。「ここで始めた。これ以前はなかった」というのはあり得ない。無知な人々はそう思っちゃうんです。われわれには、知識能力っていうのは乏しいので、やっぱり始点はあったほうがいいと思っちゃう。しかしそれは愚か者の感情であって、スタート時点と言うのはないんです。何にも、ないんです。

 

いつ・どんな現象を見ても、現れるわ、消えるわ、消えるとまた新しいものが現れる、といういシステムしかないんです。ですから、始点を探す必要はありません。今も新しい現象が現れています。現れていなければ、すぐに消えてしまう。するとまた、新たな現象が現れてくる。

 

そういうことで、わたしたちに業がどれくらいたまっているかというのは、わかったもんじゃないんです。だって、過去の始点はないから。生命にしても、こころにしても。たまっている業が、ポテンシャルとしてたまっている業が、どれくらいあるのか、わからない。知り得ないんです。無限です。知り得ないものに、無限という言葉を使います。無限と言うのは、知っても、知っても、知っても、まだ知り尽せない。1を3で割るようなものなんですね。割ってみても、みても、みても……、まだあるんですね。終わらないんですね。

 

そういうことで、どなたにでも、無限の業があるんです。それで何か見えます。差別できないんです。生命差別は不可能です。「あなたは不幸な奴だ」「あなたは幸福な奴だ」と、人を差別することは、とんでもない悪業になります。犬であろうが、猫であろうが、人間であろうが、大統領であろうが、総理大臣であろうが、みんな無限の業を背負っているんです。犬はかわいそうでもないし、総理大臣が幸せ者でもありません。

業をマネージメントする(4)業がログイン に続きます)

 

(関西定例冥想会 2011.12.11

http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1627672.html よりメモしました)

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