ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

覚りの世界|3.分別

覚りの世界|2.区別 より続きます)

では、三つめの単語。「分別」。

分別能力っているのは、区別能力から生まれるもので、やっていいものとやってはいけないものを区別する能力が分別なんですね。そこで「良い・悪い」が出てくるんです。自我で「良い・悪い」を言った差別の世界とは違うんです。全く違うんです。

 

そこで世の中で、知識は育てているんだけど、分別は教えていません。だからやっては良いもの、やってはならないもの、といたって簡単。やっていはならないものは、自分やほかの生命が不幸になるものです。

たとえば、怒ってはいけない。怒りの裏に知識があるかもしれませんよ。分別能力があるかもしれません。しかし怒っちゃうと、自分のこころが壊れていくんですね。自分がやることが人に迷惑になります。

 

そういうことで、分別能力も必要なんですね。やっていいものと、やってはいけないもの。

知識とつながっているんです。だから正しい知識というのは、知識と一緒に分別も一緒に成長するならば、お釈迦様が認める生き方なんです。

 

知識人ありながら、人格者でもある。世の中で、知識人ではあるけれども人格者ではない、という人は多いんです。

それで、区別と分別を切り離すことができるかというと、できないんです。区別能力がなくて分別能力はある、というのはあり得ないんです。区別能力はあるけれど分別の能力がないというのはあり得ます。

 

この中で、区別と分別の二つで、価値あるものは? 分別なんです。分別ある人は、この世で幸福になる、死後も幸福になる、周りも幸福にする。だって悪いことをしないんだからね。何かやったらすべていいことだから。

 

知識自体には大した価値はないんです。ただ生きられる、というだけ。それもこの人生だけなんです。ここでどんな知識人であっても、死ぬときは知識はすべて消えます。知識というのは脳の中に記録される信号です。脳が壊れると知識も壊れます。分別っているのは、こころに記録されるものなんです。それはもう、こころは続くんだから、その能力は続きます。

 

ときどきこの世の中で、天才みたいな人間も生まれますね。脳に異常があって天才もいますけど、そうではなく、すごく多才で簡単に物事を学ぶ、そういう人々は過去世で学んでないと、いきなり小さいときからこんなにも能力がある、ということにはなりません。わたしたちは知っていますから、学ぶということがどんなに大変か。それなのに一部の人には、すぐに理解できている、というね、そういう人間もいます。

 

そういう人々は、過去世で分別能力を育てるんです。だから過去世で学んだものは、残っているんです。だから、将来生まれ変わるときでも、今の知識をそのまま持っていて、次はもっと高い知識人になりたいと思うならば、自分の知識に分別能力を入れてこころに記録することなんです。脳細胞に、じゃないんです。

 

はい、その三つの言葉(差別・区別・分別)を覚えてください。役に立つと思います。ただ国語辞典で引いて、この意味は分かっているんだということじゃなく、これは仏教用語なんです。

覚りの世界|4ー最終回.それらを乗り越えた境地に続きます)  

 

東京法話と実践会 2015.07.12

http://www.ustream.tv/recorded/67329399 (期間限定公開動画)よりメモしました。

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