前回
この人はなんか、一般人の常識と違ったことを言っているんじゃないかな、と思うかもしれませんが、そうではないんです。
あなた方は毎日買い物をしているでしょう。そのとき捨てることをやっていない? ときどきかなり豪華な食べ物を買っているでしょう。大きな魚とか。それを切ったり焼いたり煮たりして、その大きな魚と言う価値を捨てなきゃ、食べられないんですね。
食べたら、その食べるときの楽しみと体力を得ますよ。でも何か捨てているんです。
何か捨てなきゃ得られません。
預金通帳の数字だけ増やしてほしいと思う人は、何か捨てなきゃいけない。たとえば、楽に楽しく贅沢に過ごすことを捨てている。できるだけケチをして、ロクにおいしいものを食べないで、ぼろ服を着て金を貯める。それで預金通帳の数字が増える。
しかし、いいものを着て、いいものを食べて、居心地のいい家に住みたいと思ったら、何を捨てる? 預金通帳の数字を捨てなくちゃいけない。
家を建てるときはローンでやっているでしょう。将来にわたってまで捨てていて、マイホームを作る。
マイホームを建てないと決める人もいる。どちらの人も必ず何か捨てなければいけない。捨てる道から逃げられません。地球の重力と同じです。
二十年もローンを組みたくない、と思ったらアパートに暮らすしかない。自分好みの家に住みたいと思ったらローンを組まなくちゃいけないんです。
だから捨てることは変なことじゃないんです。
そこでわれわれは、法則は破れませんから。
法則に納得して自分で決める。何を捨てて、何を得るのか。捨てることはどうにもならん。あれも欲しい、これも欲しいは成り立ちません。
そこで我々は選んでいくんです、自由に。
自由はないんだけど本来は。なんとなく自由なような感じで選んでいくんです。何を捨てて、何を得るのか。捨てて進む法則は絶対的です。いかなる生命にもどうすることもできないんです。
(続きます)