(前回 うんこで健康 - 功徳(6)から続きます)
自分の脳が正しいと思わなきゃ、今しゃべっている言葉さえもしゃべれないんです。
今わたしがしゃべっているでしょう。脳で、「はい、次はこの言葉、次はこの言葉」と決めたものを表に出しているんです。しゃべってから、「あれは間違った」と後で気づくんだけどね。しゃべった瞬間は気づかないんです。
あれは言わないほうが良かった、とかね。
みなさまにもそういう経験があるでしょう。ないような顔をしていますけどね(笑)。
その瞬間で、脳は正しいつもりでやっているんですね。
お釈迦様が在家だった時の息子のラーフラ尊者に、朝来る前にいろいろなアドバイスをするんですね。一応子供でしたから、お釈迦さまは、サーリプッタ尊者に失礼なことをしたら困ると心配していました。だってサーリプッタ尊者のところに弟子入りさせたんだから。人類の一番智慧のあるところに。
サーリプッタ尊者はすごく謙虚な方だから、
(ラーフラ尊者が)子供だから、なにか失礼なことをしたら大変だと、それだけ心配しているんですね。それを聞くんです。「あなたは師匠を尊敬していますか」と。ラーフラ尊者は、サーリプッタ尊者に一度も失礼なことをしたことはないんだけど。
ラーフラ尊者に言ったのは、「あなたが何かをやろうと思う。やる前に、これが正しいか、善か悪か、やったら良い結果になるのかと、ちょっと待ってから、観察しなさい」と。
だから、脳を信頼していないんです、お釈迦様は。「あ、これをやる」という気持ちが出たとたん、わたしたちはやっています。「活発だ」と、とんでもないことまで言う。
活発ではなくて、馬鹿なんです。
すぐ行動に行くとかね。
ラーフラ尊者に「ちょっと待ってから、善か悪かと考えてください」。善と判断したらならば、やるでしょう。脳を信頼していないから、やっている途中でも、もう一度観察しなさい。「これは本当に善なのか?」それで悪だとわかったら、中断して直ちにやめてください。
やっている途中でも、「正しい」と思ったとするでしょう。
そうすると、やりたかったことが終わるまでやるでしょう。終わったらもう一度観察しなさい。「やったことが善か悪か?」
もしやったことが悪だとわかったら、二度とそういうことはやるな、と。
だから三つのステップです。
もし脳が正しく判断してくれるならば、そこまでやることないでしょう?
(次回 信用できない脳 - 功徳(8)に続きます)
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