(未来の組み立て方(3)原発・4つの疑問 から続きます)
そもそも人間には将来計画をする能力は付いていません。
遺伝的についていないのに、どうやって計画するんですか。どなたかいらっしゃいますか? 将来ではなくて明日どうなるのか、言える人が。明日のことさえどうなるのかはわからないでしょう。
お釈迦様の言葉で、「明日死なないと、どこに保障があるのか」という言葉があります。
Ko Jaññā Maranam Suve(コー ジャンナー マラナン シュヴェ)*1
パーリ語では短いんですけど、これは日本語直訳できないんです。
明日の死は来ない、つまり、明日死なない、と言えますか、と。正しい科学者ならば、正しい理性がある人ならば、データに基づいて考える人ならば、「それは知りませんよ」とはっきり言うはず。
明日生きているか、死ぬか、それはわかりません。予測できません。
いろんなところで死んでしまった方々は、知っていたんですかね?
「今日は死ぬでしょう」と。
以前、大きな電車事故で人々が亡くなったでしょう。その電車に乗った人々は、「これが最後の旅だ」と知っていたんですかね。受験に行く、友達に会いに行く、いつも通りのそれぞれの目的があって電車に乗って命までなくなった。みんなそうですよ。
ですから、やめましょう、いい加減に。将来を組み立てることは。
そんな能力はないんです。
たとえば、警察犬がいますね。犯人のにおいを探して行って、結構当たるでしょう。警察犬たちはかわいいんですよ。にこにこと笑いながら、遊びながらちゃんと匂いを嗅いで、怪しいなぁというところで座るんですよ、ただそれだけ。吠えたりもしません。
麻薬を密売する人も、なんでばれたんですかと、わからない。スーツケースに隠しカバーを入れて隠したりして、巧妙に工作したのに、なんでばれたのかと言うと、ワンちゃんなんです。
そこで、ワンちゃんじゃなくて警察の人々がやればいいでしょう? でも人間にできないでしょう。その能力はないんです。だから、能力がないことに手を出してはいけないんです。とんでもないことになります。
たとえば飛行機で誰かと一緒に旅に出ましょう、とする。わたしは飛行機どころか自転車も操縦ができないんです。そこで誰かが、「あんた坊主でしょう、飛行機を操縦してくださいよ」と頼む? そんなことあり得ないでしょう。
そこでわたしが「わたしが操縦します!」と大騒ぎしたらどうなる? 病院に連れていかれます。
理論的な答えは、人類には将来を推測する能力は付いていないんです。
(未来の組み立て方(5)神なら将来を知るか?に続きます)
(スマナサーラ長老・関西定例冥想会 2011.07.11
http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1433804.html)
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