(未来の組み立て方(6)仏教の神々は将来を知るか? から続きます)
われわれの知識と言うのは、現実的なデータが入って知識になるんです。
それで存在しないデータは空(くう)だからね。何も反応しないんです。
では、若い女性を占ってみてください。
あなたの三番目の子の名前は、○○で、女の子ですよ、と言える? その女性が結婚するかもわからない。結婚しても子供を産むかどうかもわからない。
そういうのは、いい加減な妄想ということです。
わたしは、犬とか猫とか虫でも好きですけど、飼えません。しかし、名前だけは全部用意してあります。こんな性格のわんちゃんだったら、この名前をつけますよと、超面白い名前なんかを考えていますけど、一度もつけられないと思いますよ。だって飼えませんしね。
国のお寺では、捨て犬だった二匹のメス犬がいて、一応飼っているんですね。
すごくカッコいい名前をつけてね。姉妹だから見た目では区別がつかない。尾っぽのカタチとかよく見ないとわからないくらいです。性格ではわかりますけどね。たまに、犬のほうをよく見ないで呼んだりすると、すごく犬の機嫌が悪くなるんですね。
ときどき犬が勝手に部屋に入っていろんなことをして、わたしがそれを見つけて犬を呼びつけて「なんであんたはそんなことをしたのか」と言うんですね。
言えば聞くんだけど、名前を間違った場合は、えらい機嫌が悪くって怒って、じーっと見ているんです。いうことも一つも聞かない。それで、「あ、名前を間違った」と。正しい名前で呼んだら、すぐいうことを聞く。
そういうふうに、現実的な遊びっていうのは構わないと思いますよ。でも、将来のことに関する遊びっていうのは、まったくはっきりしないんです。生まれてもいない子供のために、学校を選ぶ感じなんです。
そういうことで、論理的には、データがないんだから、計画は立てません。
過去のデータは頭の中でいくらか覚えることはできます。われわれがたてる将来の計画っていうのは、「過去で、こうあったほうがよかったんじゃない」という話です。だから意味がない。
津波が来るからみんな逃げていたほうがよかった、と言っても遅いでしょう。
お金がかかっても福島原発は津波に耐えるように作っておいたほうがよかったんですよ、とは、今更なによと。
わたしたちが作る将来っていうのは、いつでも過去のデータを組み立てるんです。
子供たちも怪獣やらモンスターのマンガを描いてるでしょう。あれと同じです。いろんなモンスターたちを見ても、人間が現実的にみるものを組み合わせているだけ。機械と人間を組み合わせる、それだけ。
本当にわれわれが知っているのは、現実です。今です。
今、立派に生きることが、お釈迦様が仰っている将来の安全対策なんです。
今を完璧に生きる。何も問題を起さず、今、完璧に幸せにする。それで将来は安定します。すべて、今にかかっているんです。今しゃべること、今やっている事に、すべてかかっているんです。
ですから、お釈迦様の言葉で終了します。
「過去に悩むな。将来に期待するな。今をしっかり、着々と生きてみなさい」
(終)
(スマナサーラ長老・関西定例冥想会 2011.07.11
http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1433804.html)
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「未来の組み立て方」シリーズ全7回
- 未来の組み立て方(1)将来はわからない
- 未来の組み立て方(2)今日は今日だけ
- 未来の組み立て方(3)原発・4つの疑問
- 未来の組み立て方(5)神なら将来を知るか?
- 未来の組み立て方(6)仏教の神々は将来を知るか?
- 最終回・未来の組み立て方(7)将来の安全対策とは