質問
「六根についてお伺いします。眼耳鼻舌身意の中の、意門とは何ですか?」
回答(スマナサーラ長老)
意門の場合、仏教の説明はややこしいです。われわれは一般的な知識で理解しようとするので、そこら辺はギャップがあります。現代知識では、何か物質的なものがないと理解できないというところがあります。だから、意門はどこにありますかと聞いたりもする。脳の中ではないのかとか。
じゃあ、まずその立場から説明しますね。意門と言うのが脳であるならば、脳に直接データが入りませんし、目や鼻から入ったデータが、脳であれこれと考えるということになるんですね。まずは、意門が勝手に考えたりするんですが、勝手に考えるためにも何か材料がないと。その材料は何かというと、眼耳鼻舌身から「入った」情報です。過去形なんです。入った情報を現象化して脳に記憶するんですね。
それから、記憶した概念・現象を掻きまわす。
それが意識・考えるということになります。
今われわれに言えるのはそういう程度ですね。
理論・それから因果関係は目では分からないんです。目で見ると、球が飛んでくる。これなら窓に当たるぞと、球が飛んできて窓が割れました、というのは意門の働きなんですね。ですから、ただデータを掻きまわしているだけじゃなくて、関連性を作っちゃうんですね。
たとえばテレビを見ていると、音声を作る機会と映像を作る機会は全く別々です。しかしテレビの画面に映っている人々がしゃべっているように認識しちゃうんですね。その場に実際しゃべっている人がいるならば、位置関係で誰がしゃべっているのかわかりますけど、テレビは同じところから音が出るようになっている。位置関係は関係なくなっています。でも、見事に意門で現象化してくれるんです。
そういうことで、物事の関係を発見するのが意門の仕事なんですが、これが仕事マズいんですよ。正しくやっていないんです。ただ何とか関係を作っちゃう。
あてにならないことでも勝手に言っている。たとえば、「夏になるとエネルギーが足りなくなります。原発の再稼働は賛成か反対か」と、勝手に言っているだけであてにならないんです。本当はひと夏過ごしましたけどね、原発を動かさなくなってから。
そうやって自分の都合で因縁をつけちゃうんですよ。そういうことだから、一部の人々が、なんとしてでも原発を動かさなくちゃあかんと思っているんですね。いたるところに作らなくちゃあかんやとかね。そういう方々にとっては、それからの結果は考えていない。相当儲かるでしょうね。だから日本人を殺してでも儲けますよ、というところまで考えているでしょうかね。それは考えていないんです。
必要ですよ、と必要と言うところまでしか頭が動かないんです。原発推進派の方々は嘘を言っているわけじゃないんです。自分たちの頭が「原発は必要だ」ということに結びつくデータしか受け取らないんです。
反対派にとっては、「ダメだ」というデータしか受け取らないんですね。
(六根の意門とは何か?(中編) に続きます)
関西定例冥想会 2012.05.26
http://www.voiceblog.jp/najiorepo/1732337.htmlより書きました。
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