質問
「冒頭のお話で、*1
言葉でなくて思考が大事だということでした。
その思考(感情)をするにも、言葉を使ってやるかと思います。
言葉と感情が一致していればいいんですけど、「言葉は良くないけれど良い感情でいる」ということは可能なんでしょうか」
回答(スマナサーラ長老)
それは可能です。
質問者
「わたしはその辺がうまく……」
回答
できなかったらやめてください(笑)。
わたしは子供に対して乱暴な言葉で言うこともあります。しかし、子供はますます寄ってきます。その場合は、愛されているんだと本人が感じているからですね。
たとえば漫才の人々も、かなり人を侮辱するでしょう、言葉で。
笑わす目的でしょう。だから侮辱されても全然気にならないんですね。お客さまを馬鹿にする気持ちは毛頭ないんです。
綾小路きみまろさんはものすごいことを言うでしょう。
でも、ものすごい人気でしょう。だから(言葉は良くないが良い感情でいることも)できるっていうことなんですが、あまり上手じゃない人はこれはやらないほうがいいんです。
歌えなかったら歌わないほうがいいでしょう。
歌えなければ手を叩いたり踊ったりして参加すればいいんじゃない。それはそんなに問題がない。人間はそれぞれいろんな能力を持っていますから。
言葉を作るのは感情ですね。
ということは、言葉は一応、ある程度で決まっている感情があるんですね。しかしわれわれは、そこで違う意味で使うんですね。言語の場合は。辞書が決めた意味で使わないんです。ときどき辞書の通りに使うし、ときどき自分勝手な意味をあらわしたりする。
今、例を考えたんですけど、人が自分の頼んだ仕事をやってくれたら、「よくやってくれましたね」というのは感謝でしょう。
「よくやってくれましたねっ(#^ω^)」と言ったら、感謝ではないでしょう。しかし言葉はまるっきり同じなんです。しかし逆の意味で使っているんです。
わたしが日本で学生だった頃、教授が「ご苦労さん、ご苦労さん」と皆に言っていた。
これはどんな意味でしょうかと疑問に思った。学生たちは教授にお茶を入れたり、いろんなことをやっているんですよ。
わたしはお茶を入れたことはないんだけど、下手だからね(笑)。
わたしが部屋に入ったら、教授がお茶を入れてくれました(笑)。日本の学生さんは部屋を掃除したり、いろいろなことをしているんですね。それで教授が「ああ、ご苦労さん」と言うんですね。
わたしが「『ご苦労さん』てなんでしょうか」と聞くと、
(答えは)「ご苦労様でした」を短くした文章です。自分のために、ありがとうございました、感謝します、という意味ですよ、と。それが、「ご苦労さん」になって、ときどき、「ご苦労」だけで終わっちゃうんですね。
一生懸命やったんだけどそれが何の役にも立たない場合は、「あ、ご苦労」だけでしょう。
その場合は、「なんて無駄なことをやったのか」と言ったら、キツイし、失礼だし、でもやったことに対して否定したいんですね。
だから、同じ言葉でも表す感情が使う言葉次第で変わります。
だからいつだって美しい気持ちでいたほうがいいんですね。
(次回 器より中身が大事 - 言葉遣い(2)に続きます)
<東京法話と実践会 2016.03.13
http://www.ustream.tv/recorded/84412689
40:00~1:10:00頃より書きました。>
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