ブッダ ラボ - Buddha Laboratory

Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa 仏道実験室の作業工程と理論、実験結果

『慈悲の冥想』の講習(3)嫌いな生命さえも

(前回 『慈悲の冥想』の講習(2)生きとし生けるもの

 

しかし、人間っていうのはものすごくわがままだから、失敗するんです。

それで、自分が本物かどうか確かめなくちゃいけない。自分が本気になって自我を捨てて、一切の生命を慈しむ立派な人間か、あるいは偽善者なのか、自分で確かめなくちゃいけないんです。偽善だったら効き目がない。本物だったらものすごい。奇跡的な効き目があります。

 

なんのことなく慈悲には奇跡が起こせます。慈悲が本物なら。

 

それで、偽善は困りますから、偽善になることをこれから解決します。

 

その方法は、わたしの嫌いな人も幸せでありますように、と念じます。

それから、わたしを嫌っている人も幸せでありますように、と念じます。

 

そのとき、偽善かどうかとわかります。

「なんで嫌いな人のことまで……」と思ったら慈悲がない。まだまだ未熟です。間違ったわけじゃない。正直でいいんだけど、未熟ですね、やっぱり。

 

そこで、とにかく繰り返してやってみる。

やがて、まあいいや、別に、ということになるんです。当たり前でしょう、生命だから、と。

 

ゴキブリのことを勝手に嫌いと思っても、可哀想でしょう、ゴキブリは。

 

ゴキブリも幸福でいてほしい、とそれが当たり前になってくる。

それで一応偽善は消えています。慈悲の気持ちが完成しているんです。

 

そういうことで、これは自分を試すところです。

やってみましょう。

 

わたしの嫌いな生命も幸せでありますように

わたしの嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように

わたしの嫌いな生命の願いごとが叶えられますように

わたしの嫌いな生命にも覚りの光があらわれますように

 

わたしを嫌っている生命も幸せでありますように

わたしを嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように

わたしを嫌っている生命の願いことが叶えられますように

わたしを嫌っている生命にも覚りの光があらわれますように

 

生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)

 

これが慈悲の冥想で、これこそこの世界にある唯一すぐれている「呪文」なんです。

呪文よりも力があります。

すごい力があります。

頑張ってみてください。

 

頭の中でしっかり覚えて、常に、自分と一緒にしてください。

自分が不幸になる思考、「なんであの人はこんなことをやるんでしょうか」「なんでこんなことを言うんでしょうか」という思考は全部壊しちゃって、慈悲の思考で埋め尽くしておいてください。神様のように生きられます。この世の中で。

 

自我がなくなるんだから、すごく謙虚になります。

出しゃばったり、みんなに迷惑をかけたり、それもなくなります。

うるさくなったり、おせっかいになったり、それも消えます。

 

これを実践した人はみんな、ちゃんと結果を出しています。真剣にやった方々は。

真剣にやっていない方々は、素晴らしくそのまんまで(笑)。

 

だから、信じる前に試してください。本当かどうか。

試す気持ちは、仏教ではオーケーです。本当かな、じゃあ試してやるぞと。

 

試してみると、結果が見えてきます。

それから、ブッダの教えを学んでいくのです。

 

そのあとは素直に、お釈迦様の言う通りにやる。

 

ということで、これは最大の「呪文」です。

 

自分のお守りになる、家族のお守りになる、会社のお守りになる。

ものすごいお守りになります。幸福になります。しっかりします。

 

お釈迦様は、世の中の問題にはたった一行で答えられますよ、と仰っています。

政治問題、経済問題、戦争、国際問題、家族の問題、学校の問題、ぜんぶ人間関係の問題だからね。

 

お互いに憎しみ合っているだけでしょう。わがままで。だったら、一言だけ答えがあります。「生きとし生けるものが幸せでありますように」

どんな生命にも生きる権利がある。それを奪うなよ、守ってあげましょう。すべての生命の生きる権利を守ってあげましょう。そうすると、わたしの権利も守られます。それで問題が消えます。

 

そういうわけで、慈悲の冥想を終了します。

頑張ってください。

(終わり)

スマナサーラ長老『慈悲の瞑想』の講習https://www.youtube.com/watch?v=HRysI_uwTkU

 説法めもより》

 

最初から読む:『慈悲の冥想』の講習(1)わたしとわたしの親しい生命